幕間 軍議の後で
軍議が終わり、密度の濃かった円卓は閑散としていた。広さの増した大広間には、私と二人の兄との三人だけ。
「本当に、これで良かったのでしょうか……兄様」
アサギ色の瞳と視線が交わる。
「シルヴィアは、不安かな? 心配しなくても大丈夫だよ。この戦争を長引かせるつもりはないよ」
なだめるような優しい口調で、私の問いに答える。その瞳には迷いなど見られなかった。
「それは、私もそのつもりです。ですが兄様、私達ドラヴァニアには──」
「こんな事をしている暇はない……かな?」
お見通しというように、私の言葉の続きを言い当てた。ここまで理解しているのなら、もう言葉にする必要は無い。
「盟約が果たされる時は、そう遠くないうちに訪れる。回避することは不可能だ。だが、この戦争は操ることが出来る。今一番恐ろしいのは、この二つが同時に重なる事、こうなってしまっては世界そのものが終わってしまう」
ジュリアスは静かにゆっくりと語り続ける。
「だからこそ、この戦争なんだよ。ここで停戦、もしくは休戦協定を結ばせる。そうなれば、最悪の事態は回避できる」
この戦争の目的。竜と契約を果たした王族のみが知り得る、私達ドラヴァニア王家の使命を果たす為の戦争だと、彼は言う。
「私が戦闘に参加できないのは心苦しいが、その分この頭を使って二人を支援するよ」
「兄上の盟竜は水竜だ。致し方ないのは皆承知している」
瞳を閉じたまま、クラトスが口を開く。
「ありがとう、クラトス。私は各領主達と協力しながら国を纏めると同時に、これまで通り白天竜の行方も探してみる。戦場は二人に任せるよ」
ようやく全てを語り終えたのか、椅子に深く座り直した。
「この国は、こんな所では終われない。私達……人と竜には、世界を護る使命があるのだから」
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