第3話 恋愛 -こい-

周りが欲している偽善とは特別性という偏見をいうのだろう。

そんな特別性もの、どこにもないというのに……

無関心でも触媒として与え続けることはできる。それが愛だと思う。

存在が発する無意識の波長を愛とすると、意識的な波長は恋と言える筈である。

偏見を持って何かを好きになることは、それだけで意味があるということだと思う。

一般的に、人は自分が好きな生き物だから、自分に無関心な他人に対しては敵意を感じるのだろう。

本人は無自覚なのだから、それは無意識に争いを生んでいることになる。

逆に、好きなものに無関心でいることは美しさを認めているからだと思う。

美しさは主観である以上、自分と切り離して捉えているものだ。

自分とは違う存在を認め、その価値を評価することが美しさである。

人は欠けた存在で自分に無関係なものほど美しいと思う。

なので愛より生まれし恋、恋愛とは自我の覚醒に他ならなく、またそれが強いほど恋愛に向いているのである。

反対に、美しさとは自我を失くすほどに際立つものだ。

誠実で純粋な美しい世界に希釈される私という不純物……

世界に溶け込むように無意識を漂う中、私だけが異質で偽りなのだ。

これらをまとめると、無意識であればあるほど私が異質であることをつきつけられ、

意識的であればあるほど世界は偽りに支配される、となる。

もし全てが偽りなら、全てが本当だといえるのだろうか。


―――これを何年かけて繰り返して、今の私があるのだと思う。

無意識から意識へ。意識から無意識へ。

瞬時に切り替わることでその場その場を切り抜けている気がする。

優しさも、悲しみも、愛も、憎しみも、その場の対流を意識してやり過ごすだけだ。

いつからか何かが壊れてしまったみたい…

悲しみは、そんな日々のほとりに―――

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悲しみ(全3話) ポケケポ @pokekepo

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