銀河英雄は、自己分析をする
さて、読者諸君に改めてご挨拶だ。俺の名前は
……まぁ、その前に世界ごと消されたが。
暗い話は置いといて、とりあえず俺のスペックをご覧に入れよう。まずは魔力!うん。俺魔力あるんだよ、底なしの。実際は枯渇しても瞬時に回復するタイプの魔力だけど、一番すごいタイプの魔法を9つ同時展開しない限りは枯渇もそうそうしないレベルではあったよ。
肉体的には、国崩壊クラスの攻撃を食らっても、ケガしないレベルの超防御力と、どんな敵でも負けることのない、文字通り無敵の攻撃力を有している。これは、俺がかつて異世界に転生した時に特典で貰った、いわば前時代チート系の名残だ。
そんでもって、異世界から直接元の世界に飛ぶという、恐ろしい荒業をもってして世界に戻り、ヒーローをやり始めた。
このヒーローに変身した後のスペックもまた、チートじみていて、最終スペックだけをさらすと、腕からの光線は空間を
さて、いま上につらつらと並べたこと、現在の状況に当てはめると、ぜぇぇぇぇぇぇんぶ意味がない!ということに、皆さんお気づきであろうか。
たくさんの魔力?無双の攻撃力?誰と戦うんだよ。
空間を割る光線?何に使うんだよ。
どこからともなく出てくる武器?不意を衝く相手もいないぞ?
ビッグバンを耐える防御力?防御したからこそ、この絶望があるんだが?
よおし、正直に言おう。絶望だ。ああそうだとも、それこそ文字通り世界を股にかけて救ってきた、この俺もさすがに絶望くらいするさ。だってそうだろう?絶望しなきゃおかしいよこんな状況。
なんでったって神様は、こんな終わった物語の中に、俺をとりのこしたのだろうか。そんなことをセンチメンタルになりながら考えてもみたが、そもそも世界を作り直したがために、暫定的にこの世界の神様は俺じゃないかと気づき、さらにこの状況に俺を追い込んだのもまた、俺自身じゃあないかと思い当たった瞬間、俺は思いの限り叫んだ。
「俺のぉぉ!馬鹿野郎がぁぁぁ!!!」
のども裂けよといわんばかりの大絶叫は、今日も何もない宇宙へ、多大なる攻撃力とともに放たれていったのだった。
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