・《ウラの事情は大変ですか!?》- 3.5 -


『もしもし財団か!?のぞむ白沢しらさわかなでと接触した。1歩遅かったかもな…。』


『……望が、こんな時間にか?』


『ああ、聞いた話じゃかなりまずい状況かもしれんぞ。』


『……そういえばこっちも昨日の放課後、伴野ばんのが白沢奏を呼び出していたことがわかった。』


『何!?内容は!?』


『……詳しいことは私にもわからないが、何やら写真を見せていたらしいな。険悪な雰囲気だったのも間違いない。』


『あいつお得意の脅迫ってわけか。』


『……篤志。そう言えば、お前が最初に相談された内容というのは、部員が辞めていく真相を知るってことだったのだろう?』


『ん?ああ、伴野が犯人だってことで、もうその話は決着がついてる。女に振られて腹が立った伴野が後輩をいじめ、その後まずいと思ったのか校長、もしくは親の力で隠蔽した。ってとこだろ。』


『……しかしなぜ、相談相手の女子マネは伴野の暴行を知らなかったんだ?』


『どうやら伴野にとって、女子マネも恋愛対象だったようだ。しつこく手を握ってきたりなんなりされたらしくな。白沢奏に振られたあとの話らしいが。』


『……要するに、自分に嫌なイメージがつかないように、女子マネにすら隠れて後輩に手を出してたってことか』


『性根の腐った野郎だ。しかも、白沢奏が望といる所を目撃したあいつは、嫉妬に狂って白沢奏と接触したってわけだ。大方、『そんな女々しい奴より俺の方が上のはずなのに!』ってとこだろう。』


『……聞けば聞くほど笑えてくるな。女ならすぐに手を出そうとしてるのは自分なのに。』


『なあ財団、俺は白沢奏の事よく知らないんだが、あの人はどんなタイプだ?見た目からして日本人ではなさそうだが…。』


『……ハーフだと聞いた。性格は大人しく、周りとは距離を置くタイプだ。目立った友達も知り合いもこれといっておらず、成績も中の中。見た目のせいでかなり目立ってはいるけどな。正直、学校で望と楽しそうにしてたと言うのが信じられない。』


『おいおいそんな娘、伴野の格好の標的じゃねえか。うまくいけばアイツが独占できるんだからな。でも、そもそもなんで望は白沢奏と知り合いなんだ?今まで付き合いが長いが、影も姿も知らなかったぞ…?』


『(……やはり…あの時の放課後、教授の言う望の様子がおかしかったと言うのは…。)』


『なんだよ財団。声が小さくて聞こえないぞ?なんだって?』


『……いや、なんでもない。こちらの話だ。ところで篤志、女子マネの相談はもう終わっているのだろう?』


『ああ、あとは相談相手にこのことを全て話すだけだ。それが?』


『……なら、お前がこれ以上関わる理由はないのでは?』


『まあその通りだな。いくら小物でも伴野は危険人物であることに変わりはない。関わらないのが吉だ。でもよ……。』


『……でも、なんだ?』


『電話越しだが、望の奴かなり必死だった。あんな望、久しぶりでさ。』


『……』


『しかも、自分が追ってた伴野が関わってるって話だ。あいつも本当にツいてないよな。いっつも色んなことに巻き込まれて。』


『……本当、運が悪い。』


『だから、俺の大切なダチが頑張ってるのに、ここで手を引くわけにはいかないよなって思ってよ。』


『……そう言うと思ったよ。』


『白沢奏のことは望に任せてとりあえず俺らは伴野の事だな。本人に接触できればいいんだが…。』


『……とにかくもう夜も遅い。明日は日曜日、望の家に集まって作戦会議をしてもいいだろう。』


『というか望のやつ、白沢奏をどうする気なんだろうか。夜遅いし、まさか家に泊めたりしたりしてな。』


『……ないないない。しかもそんなことしたら、相川が嫉妬で修羅と化すだろ。』


『ははは!だよな!じゃあ俺はとりあえず、集められるだけの人と情報を探してみるわ。教授にも作ってもらいたいものあるしな。』


『……一応、相川にも連絡はしておこう。望に何かあったら、相川も心配だろうしな。』


『よし、じゃあ望にも一応ruinしとくわ。明日、作戦を立てるって。』


『……了解した。では。』


『ああ。また明日な。』



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