・《高校生活は前途多難ですか!?》- 1 -
冬の終りは穏やかな陽気に包まれ、心地の良い春だった。
花粉症で悩ましいこの時期、生憎僕『
高校生になり、新たな生活に期待と不安を感じてた僕が迎える新学期。
それがあと数週間先に迫っている。
僕がこれから通う『
この学校は少し変わっていて、生徒一人一人の『自由』を尊重する学校であり、基本道徳以外の明確な校則は指定されていないことから人気が高く、高校から入るのは中々困難なのだ。
中学校からの友達も、多くは他の高校に進学することはなく、とくに高校になっても周囲の環境が変わることは無いのだが、それは気分の問題、ものは考えようってやつ。
なにより、『花の高校生』だ。
中学では叶わなかった恋愛、高校から解禁されるバイト。何もかもが楽しみで仕方ない。
そんな未来に胸を踊らせ、僕は数週間先を待っていた。
しかし、とある日曜日の昼過ぎ頃。
それは僕の期待とは裏腹に、我が父の一言によって、崩壊することとなる―――――
「はぁ?海外に住むって、どーゆー事!?」
「え、だからそのままの意味だよ。」
親から告げられた言葉を飲み込めずにいた僕は、思わずそれを吐き出してしまった。
「え?学校は?生活はどうすんの!?まさか、このまま転校とかになるんじゃないだろうね!?」
せっかく仲のいい友達と進学できた今、それを手放すなんてできないに決まってるじゃないか!
僕は声を張り上げ、父親に詰め寄った。
すると父親は、なんの悪びれもせずに一言―――――
「いや、お前は日本に残っていいぞ?もちろん、生活費もある程度は送ってやる。
「アンタら夫婦は、息子と娘を残していく気なのかい…。」
千佳とは、同じ学校の中学2年の妹である。
今は友達宅に行っているため不在。
「まあ、そーゆーわけだ。俺と母さんは来週からアメリカに行く。ちょくちょく帰ってきてやるから寂しがるなよ。な?」
父親が僕の肩をバンバンと叩く。
「いや、寂しがらないよ。というか生活費はどうするのさ!仕送りって言っても限度があるでしょ?間に合うのお金…?」
「それはお前、今年から高校生なんだからバイトすればいいだろ?学校から秋葉原が近いんだし、バイトなんかポンポン転がってると思うが?」
「はぁ!?確かにバイトには興味あったけど、そこまで稼がなきゃいけないなんて聞いてないよ!勝手にあんたら夫婦がどっかいくのに!チクショー!」
「まあそう言うなよ。社会勉強だと思って、妹一人を養うのがどれほど大変か知る、良い機会だとおもうぞ?(笑)」
「このクソ親父、絶対いつか痛い目見せてやるからな?」
僕は精一杯のガンを父親に飛ばした。
こうして僕ら兄妹は、この秋葉原から二駅程度の、学校からほどよく近い一軒家で二人暮らしを始めることとなった。
次の週には両親はアメリカに旅立ち、僕は、妹と自分を養うためには必要不可欠な、収入源を探す羽目になってしまったのだ。
この時の僕には『当時はお金に困っていた。』なんて、後悔しかしなさそうなフレーズがよく似合っている。
それほど、生活に危機を感じていたのだ。
というかあのアホ親父と天然母からの仕送りが少なかったのが理由なのだが…。
ここから僕の、苦労生活が始まることとなった―――――。
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