知らなすぎる
「私たち、別れましょう」
夜の帳が下りる帰り道。寂しげな住宅街に私の声が寒々しく響いた。
彼は何も言わず立ち止まる。うつむいている私には彼の表情は読み取ることができない。
「もう疲れたの」
気まずくて、顔を右にやればそこは公園だった。子供達はもう帰ったのだろう。置き去りにされたボールが風にあおられて転がる。
「そうか」
理由を聞くでもなく、怒り出すわけでもなく静かにそう言った。
やはり、この人は分かっていない。
「これ、返すわ」
右手の薬指から抜き取った安物のリングと部屋の鍵を彼に返す。
その時にちらりと顔色を伺うと、全てわかりきっていた、そんな顔をしてた。
「さよなら」
素早く手のひらに乗せると、足早に立ち去る。
「楽しかったよ」
後ろからそんな声が聞こえた気がした。
ああ、やっぱり。あなたは女の子のこと知らなすぎるのよ
翠玉へのお題は『女の子のこと知らな過ぎるのあなた、』です。
https://shindanmaker.com/392860
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます