もう戻れないの

 恋をした、初めての恋だった。君に恋をしたのはきっと、ずっと前。でも、今まで気付かないようにして心の奥の方に閉じ込めていた。

 それも、今日で終わってしまった。いや、時計の針は十二時を回ってしまったので昨日か。

 ベットの上で膝を抱えて、窓にもたれかかる。嗚呼、今日は新月だ。雲だけがゆっくりと流れていく。

 月が綺麗ですね、なんて使い古された文句も今日は言えない。

「なんで好きになったんだろ」

 考えみてもわからない、理屈では考えられないのが恋だと、誰かが言っていた気がする。

 気付いてしまったきっかけは、帰り道の信号待ちの時、ふと顔を覗き込んだ。そうしたら好きだ、と感じたのだ。それがきっかけ。

 笑う顔が、少し変わった爪の形が、足が速いことが、その全てが魅力的に見えてしまって仕方ないのだ。

 友達、だったのに。

「もう、君を好きになる前には戻れないよ」

 きっと、もう普通には接することができない。些細なこと一つ一つに反応してしまうだろう。距離もあいてしまうだろう。

 でも、それでも私は君を好きになったこどが幸せでたまらないのだ。

 



 翠玉の愛の言葉:雲だけ流れる月が消えた夜に、ひざを抱えて「もう君を好きになる前には戻れない」https://shindanmaker.com/435977

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