お仕事開始!

 国から派遣されてきた相談員ツキコさんの助けを借りて、さっそく私はお仕事を始めることにしました。

 私たちの住んでいるおうちから30~40分ほど歩いたところに、巨大なショッピングモールがあるのですが、私はその中にあるお店で働かせてもらうことになりました。


「わ~、大きな建物ですね」と、私は驚きの声を上げます。

 ツキコさんに連れられてやって来たショッピングモールは、本当に大きな建物でした。

 3階建ての建物の中に200店舗以上のお店が入っています。駐車場だけでも何百台の自動車が止められるかわかりません。

「ミコトちゃん、ここ初めて来るんだっけ?」と、ツキコさん。

「はい。近くにこんなとこがあるだなんて、全然知りませんでした」

「そう。これから毎日通うようになるかもしれないから、ちゃんと道を覚えておいてね」

「でも、ちょっと場所が遠いですねよ」

「歩きだと大変よね。自転車を持ってればいいんだけど」

「自転車か~」

 確かに自転車があればらくそうです。うちからここまで15分くらいで来れるんじゃないでしょうか?

「よっし!最初のお給料が入ったら、自転車を買います!」と、私は決心します。

「そのために、まずは働くお店を決めないとね。できるだけ長く続けられるところがいいわよ」というツキコさんの言葉に、ワクワクしながら巨大な建物の中へと足を踏み入れていく私でありました。


 それから数日が過ぎて、初出勤の日がやって来ました。

「おはようございま~す!」と、元気な声であいさつをわします。

 あのあと、ツキコさんに連れられて巨大ショッピングモールのお店をいくつか回って、おしゃれな小物屋さんで働くことに決めた私。

 お仕事の内容は、接客とディスプレイ。お客さんと接して商品を売ったり、商品を棚に美しく並べたりしていくお仕事です。あとは在庫管理。どの商品が何個売れたかチェックしていきます。

 将来的には、自分でどの商品を仕入れるか、まかせてもらえるようにもなるそうです。そこまで、がんばるぞ!


 正直、最初は大変でした。

 慣れないお仕事で、毎日ヘトヘトになって帰ってきます。そもそも外で働くという経験自体が初めてなのです。それまで一生懸命にやっていた家事も手を抜きがちになってしまいました。

 それでも、レンは全然家事を手伝ってくれません。食事は外で食べたり、お弁当を買って帰るということが増え、ただでさえ少なかったレンとの会話もますます減ってしまいました。

 けれども、いいこともありました。レンもお仕事を始めたのです!

 あまり深く考えず、最初に面接に行った清掃業者にお世話になることに決めたそうです。大丈夫かな~?

 でも、何はともあれ、働いてくれることになって、ひと安心!

 

 こうして私たちふたりにも収入が入り始め、どうにかこうにか生活が回り始めたのでした。

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