第4話 接触 1-4

原因は不明だが呼吸が荒く重症の少女と、足にゴブリンの矢を受けた軽装君の治療はなんとか無事に成功した。

情報を聴きだすためにAIから、まだ完全ではないが、解析できているだけの言語情報を受け取った。

私が近づくと彼らは笑顔で手を振ってくれた。

盾持ちの1人が話しかけてくる。


「助けて***だけでなく、仲間の命を****て感謝します」


まだ所々わからないが、おそらく感謝されているのだろう。


「礼には及びません。困っていた様でしたので介入させてもらったまでです」


うまく伝わっただろうか。私が話すと皆びっくりした顔をした。自分達と同じ言葉を話せないと思っていたら急に話し始めたのだから、それは驚くか。


「私達の言葉を話せるのですか?」


お、今度は全部わかった。


「はい。勉強してますが今は少ししか話せません」

「いや、十分に話せていますよ」

「それは良かったです。ところで、彼女に何があったのですか?」

「それは、バジリスクの毒を浴びてしまったんです」

「そうでしたか......その、バジリスクというのは強いのですか?」

「......一応、**ランクモンスターに指定されてますが......そういえば自己紹介をしていなかったですね。私はケイン。このパーティー、新たなる息吹のリーダーです」


あまり迂闊に話したりするとボロが出るな。


《←言語解析率が80%に達しました。我々の使う言語と比較して、一般的に使われている言葉程度ならば、ほとんど使えます》

《→ご苦労、解析を続けてくれ》


「私は......ゼロです。行商をしながら旅をしています」

「......行商人の方でしたか。随分と身軽そうですが......」

「私もここへ来る前にモンスターに襲われましてね。命があればまだ商売はできますから」


その後、ケインを筆頭とする冒険者パーティー、新たなる息吹のパーティーメンバーに自己紹介をしてもらい、体調と装備を整えるために一番近場にある辺境の街ポルガトーレに向かうらしいのでついでに同行することになった。

この星に降りた時に周囲5kmの範囲を偵察させたが、町と言える様なものはなかったはずだ。小さな村程度の物が1つあっただけだが......。軽装君は歩けるまでには回復しただろうが少女の方はまだ起きてすらない。どうするのかと思ったが、近くにある村には定期的に乗合馬車が行き来している様で、それに乗るのだという。それまでは男性陣がおぶって運ぶらしい。私はもちろん運ばない。


【冒険者パーティー 新たなる息吹】

・ケイン:男性:22歳:平民:パーティーリーダー:剣士:髪の毛はブラウンで緑色の目をした期待の新人パーティーのリーダーでメンバーにはそれなりに信用されているらしい。装備は、急所に鉄製の鎧を部分的に当てていてその他は革鎧だ。ちなみに既婚らしい。要らない情報だな。


・ガイル:男性:21歳:平民:剣士:此方もブラウンの髪に緑色の目だ。全身フルプレート。重そう。好きなものは**で現在求婚中らしい。要らないよその情報。


・ジン:男性:23歳:平民:盗賊:金髪に目は青く、パーティーの中では高身長で180cmくらいはあるだろう。装備は全身革鎧で色々な道具や小さなナイフが沢山ぶら下げられている。軽装君は基本的に戦闘要員ではないらしい。またあまり喋るのは好きじゃないとのこと。


・クレア:女性:21歳:平民:魔術師:金髪で青い目の白いローブを着た女性で、火属性魔法が得意らしい。装備は杖?っぽいもの、よくわからない。未婚。...だからいらねぇょ。


・シルア:女性:15歳:平民:射手:金髪で青い目の少女で、クレアの妹らしい。確かに似ている。現在睡眠中。


自己紹介をしてもらいわかったことだが、どうやら魔法というものがあるらしい。このパーティーで魔法を使えるのはクレアさんだけみたいだが、あまり質問はできないな。確実にボロが出る。これについては自力で情報を集めるほかないか......。

森を抜けて草原を歩く。

暇なので歩きながら話をする。

冒険者についての知識に疎いという設定で話を聞いたが、冒険者とは冒険者ギルドという組織に所属する者たちのことらしい。村人や平民、時には貴族や国から冒険者ギルドに依頼という形で何かを頼むらしい。それをギルドが能力別に振り分けて、冒険者が依頼を達成することで報奨金を貰えるというシステムなのだとか。

冒険者にはランクがあり、上からS、A、B、C、D、E、Fとランクがあり、ケインさん達は全員が中堅のCランクらしい。新人にしては凄いことだと誇らしそうに言っていた。

モンスターについても同じ感じで、更に各ランクに+が付くモンスターもいるみたいだ。ちなみに彼らが闘ったバジリスクは、通常のバジリスクよりも大きい個体だったらしく、ランクはC+になるだろうと、クレアさんが言っていた。

今回は仲間が毒を浴びてしまい、危険な状態に陥ったために命懸けで撤退してきたところをゴブリンに襲撃され、私に助けられたとのこと。その話になった時に、また礼を言われた。本当に感謝してくれているみたいで良かった。

雑談という名の情報収集をしていると視界の端に村らしき場所が見えてきた。

ケインさん達も気付いたようで、疲れが抜けたような、安堵した顔になっている。

村にやっと着いた。ここでも情報収集をしないとな。

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