第2話 接触 1-2
森の中を散策していたら、ゴブリンと人が戦闘をしている場面に遭遇した。
ゴブリンは戦闘中なのが8匹、倒れているのが3匹。
ゴブリンはサンプルとして何匹か輸送しており、情報についてはAI達の研究でいずれわかるのであまり興味がない。
なので必然的に人間の方を観察する。
戦闘中が4人で、倒れている1人を後ろにして立っている。
どうやら負傷した仲間を守っているのだろう。
負傷者の事を考えると、戦況は明らかに不利だろう。
さて、どうしたものか......。
助けるか助けないかを色々な展開を考慮し迷っていると、戦況が動いた。
人間側の全身白を基調としたローブを着ている(おそらく)女性がなにやら木製の杖らしきものをゴブリン達の方向へ突き出し、何かを口ずさんだ。
その瞬間、杖らしきものの先端から火の玉が出現しゴブリン達めがけて飛んでいく。
火の玉は睨み合っていた先頭のゴブリンの頭部に直撃した瞬間に爆発、ゴブリンが1匹肉片となった。
......今のは何だ⁉︎
私同様にゴブリン達の視線も白ローブの女性に行き、脅威と感じたのか、弓を使っているゴブリンが狙いを白ローブの女性に定めた。
彼女の仲間が彼女と負傷者の前方に位置取り壁役になる。
女性は......動かないな。何かのトラブルか?
複数の矢が壁役に飛来する。
盾を持つ者はなんとか防いでいるよだが、持っていない仲間の1人の右太腿に1本突き刺さる。
他の人と比べてみると金属鎧を装備しておらず、ツインダガーの様な武器を持っていた軽装の男が悲鳴をあげながら崩れ落ちる。
前衛に位置していたゴブリン達が、威嚇なのか煽っているのかわからないが騒ぎながら走り出す。
これを機に一気にたたみかける様だ。
迫り来るゴブリンに人間側は焦り動けないでいた。
そろそろ助けないと(主に女性が)危ないので行動する。
この人達を助けることにする。
その動機は言わずともわかるだろう。
さっきのは何だったのか、色々と話を聴きたい。
私も先程の光景は作ろうと思えば作れる。
だがそれには様々な装置を使用しなければならない。
だがこの星の者達についてはまだあまり知らないが、剣や弓で戦闘をする者達がその様な装置を持っているとは考えにくい。
前衛のゴブリンが剣を振るい、盾とぶつかり火花を散らす。
後衛のゴブリンが弓をつがえ終わり十分に引き絞る。
それを見た盾を持つ人間の目にさらなる焦りと恐怖が浮かぶ。
ラフマン37ELを弓持ちに向けて発砲する。連射だ。
3匹の弓持ちの頭部に風穴が開く。
撃たれたゴブリン達は自分が死んだことを理解できなかっただろう。即死だ。
これで弓持ちはいなくなった。
あとは前衛のゴブリンだけだ。
人間側の盾持ち2人は後衛のゴブリンが死亡したのに気付き驚いている。
前衛のゴブリン達はまだ気付いていない。
前衛ゴブリンが4匹に対し、人間側は盾持ちの前衛2人に行動していない白ローブの女性、それに負傷者が2人。
負傷者を庇いながら戦うのはかなりの重荷になる。
下手をすれば自分がやられかねない。
次に前衛のゴブリン1匹の頭を撃ち抜く。
残りのゴブリン達は突然仲間が倒れた事に驚き、また後衛からの援護がない事に気付き後ろを振り向く。
後衛達が死んでいる事に驚き、騒ぎ出す。だがもう遅い。
人間側の盾持ち2人が、金属鎧を着ていることから想像するのは難しい素早い動きで残りのゴブリン達を狩っていく。
勝敗は決した。
最後のゴブリンを仕留めた人間達は直ぐに負傷者のいる所に集まり周囲を警戒する。
おや?警戒させてしまったか。だがその判断は正しいな。
「*******!」
なにやら叫んでいるが......わからないな。
この星の言語を早急に解析して覚えないといけないな。
ラフマン37ELやバーゼスPPBを見せる訳にはいかないので
「えーっと、わからないと思いますが、此方に敵対の意思はありません」
刺激しない様に声をかけながら近づいていく。
彼らも此方に気付き警戒を強めるが、私が武器を所持していないとわかると武器を下ろしてくれた。
「*******?」
後ろにいる白ローブが何か言ってきたがわからない。
「すいませんが、君たちの話す言語を習得するには言語情報が足りないので沢山話して欲しいのですが......わかりませんよね......」
ちなみに今はAI達と通信しており、彼らの話す言語を解析してもらっている。
なのでもっと喋って欲しい。
まぁ言語解析はいろんな意味で時間がかかるので気長に待つとする。
それより負傷者の確認が先だ。
此方を警戒しながらも仲間内で会話している彼らから目線を外し、負傷者を見る。
1人は足に矢を受けた軽装君だが、まだ矢は刺さったままの様だ。
上半身を起こして此方を伺ってる。
もう1人は地面に横向きで倒れている。
ここからだとよく見えないが、外傷は見当たらない。
だが顔は真っ青で呼吸が荒い。
早く診た方が良さそうだ。
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