第19話 赤い月の伝説

 実際、満月の晩は凶悪事件が多くなるらしい。月の重力が脳に影響を与えている所為かもしれない。


 オオカミ男の伝説は、そんなトコから出たのかもしれない。

 そんな【都市伝説】が真実まことしやかにささやかれていた。

 

 血で染まったような赤い月が夜空で不気味に耀いていた。


 真夜中の湘南。海岸線をシルバーメタルのBMWが走っていた。


 大学生の吉木公平が、彼女の三隅アカネを助手席に乗せドライブしていた。

 耳をつんざくようなラップ音楽が鳴り響いていた。


「気味の悪い月ね……」

 アカネが夜空を見上げて呟いた。


「ああ……」公平がニヤリと笑った。

「赤い月の夜は殺人事件が起きるって言うからな」

 まるで、脅かすような口調だ。

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