第8話 好きの先は独占(冒頭だけ若干BL注意)

「オレという兄貴分がいながら! 他の年上の男にその耳としっぽをモフモフさせたのか!」

「にゃにゃー、ネコの宿命ッス、浮気のつもりじゃ……」

「他の男に身体を許した時点で信用など出来んのだ! みだらなネコはオレが管理してやる!」


 銀髪のイケメンな青年は、涙目で訴える青い髪のネコミミ少年の言葉にも耳を貸さず、首輪をつけて鎖に繋いでしまった。


「これでお前のモフモフな耳としっぽに触れるのはオレだけの特権なのだ! モーフモフモフフモッフモッフ」

「ああー……耳の後ろはダメ―♪ ニャンニャーン♪」




 ……一応同性愛のドロドロを描いた作品なんだろうけど緊張感がないや。本を閉じる。


「お前人んちで何読んでんだよ」

「いいじゃん、もう私の部屋みたいなもんだしさ」

 

 人の部屋に上がりこんで各々好きな事をやってる礼儀を欠く行為も、幼なじみであるわたし達にはあいさつ代わりみたいなものだ。そういう洋平は何のゲームをプレイしてるんだろう。横に置いてあるゲームソフトのパッケージはえーっと、前にちょっと流行ったしめじのキャラの本編作品だ。名前はたしか、おさわり──。


「洋平は私の事やっぱ触りたいって思う?」

「……なっ!」

「拘束とかしたいと思う?」

「おいっ!」


 洋平がゲームをやめて私の方を向いたのがちょっと嬉しい。本の中の青年もこんな風に自分だけを見て欲しくてああいうことしたのかな。ノリが緩かったけど。……ま、わたしの場合は多分聞くまでもない。


「えっち」

「今日は何もしてねえって!」

「『今日は』ね。この前の告白にわたしもって返事したらそのまんま襲ったのは誰だっけ」

「あ、あれは嬉しくて、ってかお前も嫌とか言わなかったし抵抗もしなかったろ!」

「『陽菜(はるな)大好きだー』って洋平に迫られて抵抗できる陽菜がいると思ってるの?」

「急に核兵器級のデレを投下すんな! だあーっ!! もう!!」


 洋平がわたしに飛びかかって来て、私達二人の身体が折り重なる。読んでた本の登場人物も同性とかそんな細かいことは関係なくて、ただ相手が好きで好きでしょうがないだけなんだろうな。ならしょうがない。だってわたしもこうしてるととても気分がいいんだもの。

 

 お題:同性愛のドロドロ 必要素:しめじ

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