第44話 そうじゃない

【依頼がいっぱい】

どうやら、研究の部署で何かあったらしく、ここ数日どっさり依頼が来ています。


加藤さんの担当の分析ではありませんので、加藤さんに直接の影響はありませんが、菊永さんがパンクしていて、藤沢さんがヘルプに入っていて、お二人は忙しそうです。


加藤さん「私は、共通の作業をするくらいしかできないんですけど、お二人とも大丈夫ですか?」


藤沢さん「加藤さんが来てくれてなかったら、今、加藤さんがやってくれてる分析もやりつつだから、もっと大変でしたよ」

菊永さん「そう、加藤さんが担当の分析を減らしてくれただけでも、助かってますよ」



【差し入れ】

内田さん「みんな、課長が差し入れでおやつ持ってきてくれたよ」


内田さんに声を掛けてもらって、給湯室へ行ってみれば、ちょっとお高いケーキが。

おいしそうと、皆さんの目がキラキラしています。


加藤さんも、美味しく 1個いただきました。


加藤さん「これって、やっぱり、これ食べて頑張ってね、ということでしょうか?」

内田さん「だと思うよ」



【課長も……】

美味しくいただいたので、課長にお礼を。

加藤さん「課長、ケーキありがとうございました」


宇野課長「どんなのがいいかよくわからなくて、有名らしいんだけど、美味しかったですか?」

加藤さん「はい。美味しくいただきました」


宇野課長「それは、良かったです。私は皆さんにこれくらいしかできませんから」

加藤さん「私は、おこぼれですかね」


宇野課長「いえいえ、加藤さんにも頑張っていただいてますので」



【でもやっぱり、そうじゃない】

加藤さん「課長のケーキ、美味しかったですね」

菊永さん「そうですね。でも、ちょっと買収された感はありますね」


加藤さん「無理させても、美味しいものを与えておけば大丈夫、みたいな?」

藤沢さん「何もないよりは、あった方がいいんですけどね」


菊永さん「嬉しいのは嬉しいんですけど、一番はそこじゃないと言いますか」

加藤さん「他部署の圧力に屈せず、守って欲しいですよね。本当にそんな大量の分析が必要なのか、そんなに速く必要なのか」


菊永さん「そう。逆らえないから、無理言ってやらせて、おやつでご機嫌取ろうって感じが……」

藤沢さん「課長も、私達派遣は文句言うし、上からはやれと言われるし、大変なんでしょうけど」

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