第22話 解析

【オーバー】

得られたデータの解析方法を、習っています。

藤沢さん「こんな感じで解析します。決まったピークだけ注目すればいいので、割と楽だと思います」


藤沢さん「ここまでで何か質問はありますか?」

加藤さん「濃度が高すぎた場合、頭打ちしてしまいますよね?」


藤沢さん「そうですね。そういう時は希釈してやり直します。最初から濃い予定だという情報があれば、最初から濃度を調整します」


藤沢さん「薄めたことを忘れて普段通りに解析すると、本来より少ない結果になるので、注意してください」



【アンダー】

加藤さん「逆に少なすぎてピークが見えない時は、濃くするんですか?」


藤沢さん「もちろん、仕込み量を増やして濃くすれば見えるようになる場合もあるのですが、薄い場合はやり直しません」


藤沢さん「検出下限未満という報告です」


藤沢さん「ただ、依頼者からどうしても少ないところを知りたいと、言われていれば、最初から濃くして参考値として出します」



【検出下限】

藤沢さん「ピークとして拾えていても、決められた検出下限に満たない場合は、数値ではなく、検出下限未満と報告します」


藤沢さん「ベースラインをこう拡大すると、」

言いながら、パソコンを操作してチャートを拡大します。まっすぐに見えていたベースラインがガタガタに見えてきます。


藤沢さん「こんな感じで結構ガタガタなので、ピークが小さいとこの影響が多いというのもあります。あと、カラムが新品の時と交換間際では、拾える最小ピークが変わってきます」


藤沢さん「交換間際でもきちんと報告できるサイズのピークでないと、この前は0.5だったのに今回は1未満ってどういうこと、ってなりますから」



【報告】

藤沢さん「データ解析が終わったら、標準サンプルの結果を集めているファイルに入力します」


見せてくれたファイルでは、今までの結果がグラフになっています。

多少がたついているものの、上下に引かれた線の内側に収まっています。


藤沢さん「毎回ピッタリ同じにはならなくて、σシグマ管理でその範囲に入っていればOKです。標準サンプルは4桁で記録しますが、依頼サンプルの報告は3桁だけです」

※σ:標準偏差。ばらつきの指標。平均値±σや、平均値±3σの範囲であれば合格などと品質管理で使用されています。


藤沢さん「標準サンプルが範囲内であることを、社員さんに確認してもらって、ハンコをもらって、ようやく報告書に書いてよくなります」

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