第36話:Highway Star

「次は僕たちの番だ」

「ふん、今回もオレが勝たせてもらうぜ!!」


 熱い男の対決が再び、である。

 火野とこういちは激しく火花を散らせる。


「今回のコースはトルクチューンでは無理がありますよ」


 今回のジャパンカップのコースは、どちらかと言えば直線の多いコースになっている。

 少なくともダッシュ系のモーターがないとスピード負け必須だ。


「わかってら、言われんでもハイパーに変えてるぜ。あと新しい仕組みも入れてあるんだぜ」

「新しい仕組み……フレキですか?」

「(ぎっくーーん!)なんでわかんだよ、つまんねぇ男だなっ!」

「はぁ……どいつもこいつもフレキフレキってバカの1つ覚えで……呆れてるとこですよ」

「なんだとぉ!?つかお前んとこの部長だってフレキ使いじゃねぇか」

「僕自身はフレキになんて頼らずに勝っていく所存ですよ」

「ふん!どんなもんか……見せてもらうぜ!!」


 スタートグリッドに並ぶ。

 ライトが赤から緑に変わり、レーススタート!

 2台がほぼ同じ速さでトップに躍り出る。


「同じような加速感だな!」

「アイガーで勝負です!!」


 2台同時にアイガーマウンテンに突入するが、こういちのアスチュートが速い。


「ブレーキほとんどかけてねぇんじゃねぇか!?速すぎるぞ!」

「大丈夫です!ストレート1枚ならギリギリ入るはずd」


 がん、ぴょーん


「あれれーーー」


 さすがに速すぎだったようだ。

 こういちはコースアウトでリタイアとなる。


「あれれ……計算上では入るはずなんだけどなぁ……」

「こういちコンピュータにも狂いが出ることがあるんだな。この勝負もらったぜ!!」


 しかし言ってるそばからアイガー下りで


 がん、ぴょーん


 火野のマシンもあっさりコースアウトする。


「あるぇーーー」


 きっちり走りきった別のレーサーが勝者となった。


「……」

「……」

「まったく見せ場を作れなかった……これがジャパンカップなのか……」

「……ま、まぁ勝負はお預けってこった!次は負けねぇかんな!」

「こちらだって……しかしみかどさんを意識しすぎました、あのエンプレスに勝つにはギリギリのセッティングが必要でしたしね」

「それはあるよな。さっきのナツとの勝負も結果だけで見れば圧勝だからな。速くなったよ、アイツ……」

「……」


「次はあったしたちね、男女!」

「その言い方、嫌いです!あなただってオネエ臭いしゃべりがウザいです!」

「んまぁーーー!言うじゃないの、じゃミニ四駆勝負でかわいがってあげちゃう♪」

「ウチだって!っていうかそのダンシングドール、まだ小径なの?ここ高速コースだよ、わかってんの?」


 高速コース、となれば小径タイヤは最高速が伸びない、不利な選択となる。


「わいるど☆はりけーんことこのあったしのダンシングドールちゃんはマッハ小径でウッドボール、木の鞠、決・ま・り!なのよーーー!」

「うーん、やっぱウザいよぅ……」


 こちらもレーススタート!

 開幕ダッシュはやはりダントツに速い土井のDD。

 ただコーナーを抜けるたびにあおいのベルダーガが牙を剥く!


「相変わらずコーナーでギュンギュン加速してくる感じがいやらしいわぁ……このエロス!エロスの権化って書いてあおいって読ませちゃう!!」

「な……ウチ、え、エロくなんてないもん!」


 とは言え。

 ミニ四駆勝負でヤジ合っても結果が変わるわけでもなく。

 2位以下に大差をつけてあおいがフラッグを受ける。


「うん!完璧♪」

「ぐぬぬ……エロスにまた負けた……」

「だからエロくなんてないから!もうやだこの人……でも結果見ると2位なんですね、ウチと勝負してなかったら1回戦は突破してる感じですよ。マッハ小径、悪くないかもですね」

「あらそう、わかるー?さすがに今回のような高速コースには合わないのはわかったけど……普通の立体なら全然使って行けるわ。次回までに高速コース用の別マシン組んでおくから、また……勝負してあげてもいいんだけど?」

「あらら、もしかしてツンデレですか?いや、でもデレて欲しくないなぁ……」

「くっ!ううるさいわよ、おとこおんなエロス!」

「なんだとーーー!!」


「くすくす♪あの2人ってなんだかんだ仲良いですよね」

「みかど、あれが仲良しに見えるんだったらお前の目はたぶん節穴さんだ」

「ほぇ?」

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