第4章:第5のオトコと全国と
第19話:全国大会
無事に部活動として正式に動き出したミニ四駆部。
今日は旧校舎音楽室にて。
「そういえば、こないだ生徒会室で大会に出られる云々言ってたよね?そんな大会があるの?」
部活認定許可がされた日に火野が言っていた
「これで大会に出られる」
みかどはずっと気にしていたようだ。
「おぅ、全国高校生ミニ四駆トーナメントってのがあるんだ。全国の予選を通過したチームが静岡のタミヤ本社で決勝トーナメントに参加できるのさ。このあたりだと部のある高校が少なくってな、今までは京商がいきなり本戦参加だったんだよ」
「つまり……京商の方々に勝たないと?」
「うむ、本戦には出られない」
「なるほど……燃えるなあ!ナツさんたちと一騎打ちだね!!」
「そういうことになるな……あいつら速いかんな……しっかりマシンを作っていかねぇと、どうにもならんぞ」
「それだよね……ナツさん、こういちさん以外の方も速いです」
「そうなんだよ、1チーム3人必要だからなぁ。」
(3人。となると、残りは木暮くんか水戸くんか)
「……前から気になってたんだけど、あたしを入れて部員が5人になったんだよね?」
部活としての認定が降りるには「5人以上の部員」が必要。
1人足りなかったのだ。
「……あぁ、そうそう、実は幽霊部員が1人いてなぁ」
「あーやっぱり。もう1人いるんだよね。どんな人なの?」
「……会わない方がいい」
「ほぇ?!」
「あぁーなんていえばいいかな……めんどくせぇっつぅか……」
がちゃん!ばーーんっ!!
音楽室の扉が突然開く。
四人の視線は否が応にもその人物に釘付けになった。
彼は長いピンクのドレッドヘアをたなびかせ、勢い良くターンしながら部室に入ってくる。
なにせガタイがいいものだから存在感が強い。
彼は部員たちの前でスタッと立ち止まると、声高に叫んだ。
「はぁーい、みんなたちー♪ごーーーるど、はりけーーーーん!」
「げっ!土井!!」
「げっ!土井!!じゃないでしょー。久しぶりにおまえらのしみったれた姿でも眺めながら甘い午後のコーヒータイムとでも洒落込もうと思ってたん……ん?女子???」
(へへへ変態だー!!!変な人だー!!)
土井を前にしてみかどは動揺していた。
彼はみかどが今までに出会ったことのないタイプだったからだ。
彼はみかどにとって「変」であり、女の子であるみかどにとって、「変な男の人」とは「変態」であった。
(お母さんには「変な男の人に会ったら逃げなさい」って言われてるけど……部長の知り合いみたいだし……!)
「変態」に見つめられて、みかどは焦りつつも頭を下げた。
「は、ははは初めまして、皇 みかどです」
「なぁーーーんだよ、火野くぅーーーん♪水臭いぃーーー、女子が入部したんなら声かけてよーーー♪」
「……めんどくせぇやつに知れちまったなぁ」
「ももももしかしてこの人が……?」
「そう、5人目の部員、土井 かずやだ」
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