村焼き魔術
①弟子入り
「お若いの。こんな老いぼれ魔法使いに何の御用かな」
「俺は、俺の生まれた村を焼いた魔術師を探している……」
「ふむ。それでは、魔術の基礎についてはご存知かな?」
「知らない……教えてくれ!いや、教えてください!」
「よかろう。この世には五つの魔術系統がある。地、水、火、風……そして村焼きだ」
「いや、待ってくれ。どうしてそこ分けたの?火で良くない?」
「しかし、村焼き魔術の使い手は少なく……今や伝説と言われている」
「いや、当然だよ!どうして使い手増えると思うんだよ!」
「お前の村を燃やしたのも、村焼き魔術の使い手かもしれん……」
「いや、確かに村は燃えてるけども……!だからってそんな安直な……!」
「村焼き魔術の使い手は限られているが、戦の後は皆、流浪の旅を送っている筈だ……そこから探してみるのがよかろう」
②仇発見
「……見つけたぞ。お前が、俺の村を焼いた魔女……!あの胡散臭い魔術師の言うことに従ってよかった……!」
「そう……私達は先祖代々、呪われた村焼き魔術の使い手……村焼き魔術は村を燃やすのみに非ず。地を腐らせ、水に毒を生み、火を放ち、風に乗せて疫病を拡げ……そこを人の住めぬ場所にする。そういう、術なの……」
「うわ思ったよりガチのやつだったコレ」
「戦争中は幾つもの村を焼いた……敵の村も、味方の村も……」
「そうか俺の村もその時に……」
「でも、私はそれじゃだめだと思った……村焼き以外の魔術を覚えようと実験をして……」
「……そうか。お前も村を焼かずに済む道を探していたんだな……だが」
「その時に失敗して燃えたのが貴方の村」
「こんなときどんな顔すればいいかわからない」
「それ以来、私の魔術は暴走状態になり、足を踏み入れた村が滅びる呪いに……」
「だから流浪の旅を……」
「ええ……」
「……でも、それは『村を焼く』魔術。もしかしたら、『街』は焼けないかもしれない……!」
「そんな……村を滅ぼすことさえ恐ろしいのに、この上街だなんて……!」
住んでみたらいけた。
Happy End
Tips 村焼き魔術
村焼き魔術は元は神の呪いであり、かけられた者が立ち入る村と家とを葬る性質のものであった。
しかし、神は人類がここまで増えるのを想定していなかったため、村の人口が1024人を越えると魔法のカウンターがオーバーフローし機能を停止する不具合があったのだった……
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作者コメント:過去に村を焼く作品にチャレンジしたのと、開始数分で村が焼ける某ソシャゲの影響で発作的にTwitterに投下しました。やっぱりハッピーエンドっていいよネ!
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