異世界姫スキル無双(プロトタイプ)
生まれたときから、姫、姫とちやほやされてきた。別に名前に姫が入っているからとか、そういう理由じゃない。ただいつも、何故かそうなるだけだ。
小学校のときの渾名は姫だったし、中高の劇ではお姫様役だった。大学のサークルでも当たり前のようにお姫様ポジションに収まっていた。
ネトゲをやっていたときなんて、気付いたら「姫」と崇められてアイテムを貢がれていた。念のため言っておくが、自分から欲しいと言ったことは一度もない。むしろ、姫扱いしないでほしい、贈り物もやめてほしい、と繰り返し言っていた。すると何故か、貢ぎものが増えた。解せぬ。
まぁ、最大の問題は。
「自分、男なんですが」
「でもですねぇ、このスキル、性別関係ないんですよ」
どうやら自分は一度死んで、異世界に生まれ変わることになったらしい。目の前では、女神様がiPadのような端末を弄りながら説明をしている。
Proだろうか。それとも、今度出ると噂の新型なのか。天界?も、ジョブズの掌の上なのだろうか。それより、ちょっと触らせて貰えないだろうか。などと、端末を見ながらどうでもいいことを考える。
話がそれた。問題は、自分の『姫体質』の原因が、どうやら『姫スキル』というものを生まれつき持っているから、と判明したことだ。
なんか、こういうことはたまにあるらしい。
「えーとですね、このスキル、一種の歪んだカリスマ性みたいなものなんですが。レベル1でも小国の姫なら勤まるレベルです。レベル3なら国民的アイドルになれます」
マジか。アイドル凄いな。あと、歪んだって言ったか。
「ちなみに、自分は……」
「レベル5です」
「5!?」
「伝説の女帝とかのクラスですね。悪用すれば国が滅びます……まぁ、女性に生まれてたら、ですけど。しかもこれ、まだ上がる余地ありますよ」
「道理でどこに行っても姫扱いだと」
「それは置いといてですね、転生先の話なんですが」
置いておかれた。自分の人生最大の謎が。
「あの、どうせなら特技を生かして姫とかになりたいんですが」
この姫体質を除いたら、あとはガジェット好きなとこくらいしか特徴が残らない。
「あー、難しいですね。王族の血統は抽選の上順番待ちなので。人気なんですよ」
「でも、平民生まれで姫ってどうなんです?」
「そこはほら、ガッツで何とかしてください。ノブレス・オブリージュ、ですよ。血統はどうにもできませんけど、他は特技を生かしやすいように調整しますから」
「いや、だから自分は男なんですけ……ど……」
「それでは、あたらしい世界でも、どうかお元気でー♪」
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