街の一角にて

『どうしたもんかねぇ』


アザミの家に向かう道すがら、自分の言葉を反芻する。


……なぜそんな言葉を俺は呟いたのか。

友人が危機に瀕しているのなら、迷わずに手を差し伸べるべきだろう。それこそが友人というやつだ。

少なくとも、俺は今までそう思っていた。


それなのに何故、俺はため息をついて、面倒くさそうに、悩みながら『どうしたもんかねぇ』などと呟いたのだろう。


俺は、無口で計算が嫌いで無表情でめんどくさがりで口下手だけれど、

真面目で約束を遵守し虚言を言わず友人を大切にする人間であるのだ。

そのはずなのだ。


そうでなければ『俺』の価値は地に堕ちてしまう……。



いや。

考えたくないけれど。

もしかしたら、俺は、本当は、ひどく薄情な人間なのだろうか?


分からない。


わからなくなってきた。


自分がわからなくなってきた。



誰か。

だれか。

教えろ。

おしえてください。


わたしはいったい、どんな性格やつですか。

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