空-カラ-の絵本

@gurimudo-wa

第1話 雨上がり

「ルンルン♪」「ルンルン♪」


やぁカタツムリさん

雨上がりで上機嫌だね


やぁカエルくん

表に出してるつもりは

なかったのだけれど

気づかれてしまったね


だってカタツムリさん

「ルンルン♪」って

声に出しているんだもん

そりゃぼくでも気づくさ


そうか声に出してしまっていたんだね

水溜まりを避けずに

お散歩しているのが

あまりにも楽しくてね


カタツムリさんは

しっかり者で頼もしいけど

お茶目な所もあって素敵だね


ありがとうカエルくん

ところで疑問に思っていたのだけれど

雨は上がったというのに

どうして傘をさしているんだい


この傘とってもお気に入りなんだ

それに何かが降ってきそうな

気がしているからだよ


何か?

雨は上がったし

しばらくは晴れ続きになると思うけど


なら、雨ではない何かだね

きっと降るよ

そんな気がするんだ


カエルくんはその何かが

降るのを待っているんだね


そうだよ

カタツムリさんも一緒に待ってみない

きっと降るからさ


一緒に待つのは構わないけど

もうじき夜になってしまうよ

周りが暗くては何が降ってきても

わからないよ


なら、暗くても何だか

わかるものが降ってくるさ


それは楽しみだ

何が降ってくるんだろう


そうだカタツムリさん

向こうの丘まで

水溜まりを避けずにお散歩しよう

そして丘で何かが降るのを待とうよ


そうしよう

ふたりでのお散歩は

もっと楽しいさ

カエルくん早速行こうか


「ルンルン♪」「ルンルン♪」


丘に着いてから

気がつけばおしゃべりに夢中で

周りは真っ暗だねカエルくん


ほら、カタツムリさん

降ってきたよ


カエルくんは

これを待っていたんだね

何て言ったらいいのか

ただ、ただ、

とても綺麗だ


うん

とっても綺麗だねカタツムリさん


こんなに星が降ってくるだなんて

カエルくんありがとう

君が傘をさしていなかったら

きっとこの景色は見れていなかったよ


ぼく最近思ったんだ

子供の頃にキラキラと目を輝かせて

見ていたものが

いつしか当たり前のものに思えて

こうして星空を見上げることも

忘れてしまっていたんだって

カタツムリさん

ぼくたちは鳥さんのように

空を自由に羽ばたけないけど

どんな生き物にも等しく

この星空を見ることはできるんだ

それはとっても素敵なことに

ぼくは思うよ


そうだねカエルくん

ぼくもそう思うよ

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