第2話 錠剤

朝ですよ。起きてください


・・・博士さん?


博士さん?


博士さん!




早朝、図書館にキンシコウが駆けつけた。


「いつも早いわね、リカオン」


「あっ、キンシコウ警部補!おはようございます

そういえば、ヒグマ先輩は?」


「風邪を引いたみたいなのよ」


「風邪ですか?珍しいですね...」


「それで...ガイシャは?」


「こちらです」


「あら...」


思わず息を飲んだ。


机に座り、突っ伏している白い服を着た人物...


「ハカセ...」


彼女は、この島の長と自称し、口癖の様に賢いとか言っていた。

それが今は、動かぬものとなってる。


キンシコウは静かに手を彼女に合わせ、息を吐いた。


「死因は?」


メモを見ながら、リカオンが答える。


「司法解剖しないと詳しい事はわからないですが、

恐らく薬の過剰摂取による中毒死かと・・・」


「薬?」


ふと目を机に向けると、半分くらい錠剤の入った瓶が目に留まった。


(これを飲んだのね...という事は、自殺?

でも、博士の様な人が自殺するとは思えない...)


考えていた所に、邪魔な声が入る


「犯人は、ヤギね!」


「はいはい、お見事お見事」


このやり取り。

後ろを振り返る。


「おはよう、あっ、私も一応」


「警察だから?そうですね。一応は」


キンシコウは落ち着いて、そう答えた。


「あのですね...。あなたは私の上司ですから、偉そうな事言えないですけど

余り深く突っ込みすぎると自分の身を滅ぼしますよ?」


「ご忠告どうも」

頭を下げる。


「しかし、被害者があの博士とは・・・・」

キリンも口惜しそうに言う。


「そうだな、死因は?」


「なんで教えなきゃいけないんですか...

私が部下だからって甘く見てもらっては困りますよ?」


キンシコウが目を細めながら言う。


「そう言えば、ヒグマいないんだな」


「体調を崩したそうですよ」


「ハハ、珍しいな。警察学校時代は皆勤賞だったのに」


リカオンが近づいてキンシコウに耳打ちした。


「先輩とオオカミさん、同期なんですか?」


「そう。だからあの人は、彼女をライバル視し、彼女の行動を許さない...」


同じように耳打ちした。


「薬を飲んで亡くなったようだな」


オオカミは、とっくのとうに調べ始めていた。


「だが、自殺ではない」


「あなたもそう思いましたか」


キンシコウが言う。


「ああ。あの人はそう言う事をする人物じゃないからな」


「絶対に、自殺なんかじゃない」


「・・・妙に優しくないか?」


オオカミはその対応が、不思議であった。


「さっきも言った様に、一応上司ですから。

ヒグマ先輩の様につまみ出すような真似は私にはできません

ただ・・・」


「ただ・・・?」


「総監に目を着けられてますから。目立った行動はしない様に」


オオカミは笑いながら視線を博士の所に戻した。


「瓶は、鑑識に回しとく。あなたもコネがあるでしょ?」


「ああ。その件は大丈夫だ」


リカオンが再びキンシコウを呼んだ。


「キンシコウさん、発見者と話しますか・・・?」


「ええ。あなたも来るんでしょう?」


(変な気分だな...)



ーーーーー



彼女は椅子に顔を下げて座っていた。


「・・・・かばんじゃないか!」


「あれ?オオカミさん、久しぶりですね」


少し彼女は笑顔を見せた。


「お知り合いでしたか」

横にいたキンシコウがオオカミの顔を見る。


「あぁ、前にね」

(あれは・・・、まだ一課に居た時だったか・・・?

会ったのは覚えているが、何の事件だったっけなぁ・・・)


「また、こうして会えて、嬉しいです」


「私もだ」


「・・・ところで、あなたが、最初に?」


と、キンシコウが質問を始めた。


「ええ...。博士さん達が、僕の料理を気に入ったのでちょこちょこ顔を出しに来てたんです。

朝食が出来たので、呼んだんですけど、中々来なかったので、様子を見たらあんな感じで・・・」


「それは、何時ごろ?」


「朝の8時頃だったと思います」


「最近、博士に変わった事は?」

私は思いついた質問をした。


「変わった事・・・」


暫く間があってから、口を開いた。


「最近、博士さん何か食べてた気がします」


「食べてた?何を?」


「さぁ...何かは分かりませんが...」


キンシコウもオオカミも頭を悩ませていた。


「ハ、ハカセ!」


叫ぶような声が聞こえた。


「あっ...助手さん...」


私たちは、泣きじゃくりリカオンに抱き着く助手の後継を目にした。


「何でハカセが死んでるんですかぁああああ....うわあああ....」


そんな声が聞こえた。


「助手は今、外から帰って来たよな。どこに行ってたんだ?」


「遠くの所に買い物に行くとか言って、昨日の夜から出かけてたんですよ」

かばんがそう説明してくれた。


「買い物・・・か」


確かに彼女の腕にはビニール袋があった。


「取りあえず、落ち着いたら話を聞きますか...」


ーーーーー


キンシコウは助手に話を聞いていた。


「では、かばんが言った通り、昨日の夜21時から今日の朝8時過ぎまで

別のエリアへ買い物に行っていたのですね」


「そうです。ここから少し遠くのエリアだったので、一晩掛けて行ったんです」


「何故、そんな遠い所に?」


「こっちの方より、あっちの方が品物の種類が多いんですよ」


溜め息をつくように、助手が話した。


その内容を扉のそばから、キリンはメモを取って書き留めていた。




一方オオカミは、図書館の中を物色していた。

地下室の扉を見つけ開ける。


ここにこんな部屋があったのは知らなかった。


大きな透明な棚が目に留まる。

中にはいろいろなものが入っていた。


小型の懐中電灯で、色々当りを照らしながら見る。


足元をふと照らしてみた。


「・・・これは?」


誰かに踏みつぶされたのだろうか、白い粉が床に散らばってる。


普段から持ち歩いている綿棒とビニール袋を取り出す。


白い粉を綿棒で絡めとり、ビニール袋に入れた。


(マーゲイに頼んで見てもらうか・・・)



警察署に戻り、鑑識のマーゲイに向かって先ほど採取した

物とあっちの現場で押収した瓶の検査結果を見せてもらった。


「しかし、ヒグマさんが風邪を引いて、本人には悪いですがラッキーでしたね」


「ああ。まぁ、キンシコウは厳しくないヤツで良かった」


書類を見ながら、そう答えた。


「・・・指紋は無しか」


「ええ、被害者以外の指紋は検出されませんでした」


「犯人が拭きとったんだろう。抜かりない奴だ。

んで、さっき渡したヤツ、早急に調べてくれ」


「わかりました」

そう言って、奥の方へと戻っていった。



オオカミが部屋を出ると、携帯が鳴った。


「もしもし、あっ、キリンか。どうした?」


「話があるので、何時もの場所にお願いします」


「分かった」


ーーーーー


「助手さん・・・、大丈夫ですか?」


かばんは、落ち込んでいる様子の助手に声を掛けた。


「ええ、後の事は警察に任せて、前を向かないといけませんね...

我々は賢い島の長として、フレンズ達を見守る必要がありますから。

それも博士は望んでいるはずです」


と淡々と語った。


「僕も、力になれるなら・・・」


「ありがとうございます。かばん」


(・・・・私が博士の後を継いで博士になります)


ーーーーー


情報共有をするときは、いつもこのカフェのこの席と決まっている。

こういう時に限ってキリンの方が先にいる。


「助手の聴取を聞いてきました」


「どうだった?」


「本当に買い物しに遠くのエリアに行っていたそうです」


「そうか。で、何を買ってた?」


「それが、お菓子なんです」


「お菓子?」


思わず、首を傾げた。


「いっぱい買っていましたよ!

きっと新し物好きの博士の為に買って来たんでしょう」


「例えば...?」


「チョコ、クッキー、飴、それから...ラムネに...」


「ちょっと待った」


私は何かが引っかかり、キリンがそれ以上言うのを止めさせた。


「もう一度言ってくれ。最初から」


「チョコ、クッキー、飴、ラムネ...」


「ストップ」


右手で彼女の口を塞ぐようにした。


(ラムネ・・・)


それに引っかかった。


「なぁ、かばんは最近博士は何かを何時も口にしていたと言っていた。

たぶん食べ物だと思うが、何だと推理する?」


「うーん、博士はいつも頭を使ってましたよね。きっとそれでいつも甘い物を食べていたんだと思います」


「確かにな。甘い物は頭の栄養になると言われているからな。

じゃあ、お前だったら何を食べる?例えば何かをしている最中。

細かい作業なんかしていた時」


「そうなると...、あまり手の汚れるものは食べたくないですね。

チョコなんかは溶けて手に付くかもしれませんし、

ポテトチップなんか油ものも手が汚れるし、


かといって急いで作業をしなければいけない状況だったら、ゆっくり

食べてる時間ありませんからね。


せめて食べるとしたら、飴とか、小粒の物ですよね」


「私は・・・、博士はラムネを食べていたと思うんだ」


「ラムネですか?....ハッ!」


「分かっただろう?」


私はニヤリと微笑む。


「ええ、ええ、わかりました!」


大きくキリンは首を縦に振った。


「博士はラムネと薬を間違えたんだ」


「・・・でも、普通瓶にはに入ってないんじゃないんですか?

青い半透明のボトルだったり、個包装されてたり」


「瓶丸ごと、というのは珍しい。中々売ってない。その通りだ。

だが、博士がラムネにハマっていたらどうだろう。

大量購入して保存しておく。というのも考えられる」


「まとめ買いってヤツですか!」


「そうだ。そして何者かに、その瓶をすり替えられた...

私が地下室で採取した白い粉がラムネであったら、その可能性は高くなる」


「・・・完璧ですね!後は犯人と動機ですが・・・」


「犯人は決まっている。博士がラムネを好きだと知っている人物でもあり、

ラムネを教えた張本人。

そして、彼女の行動パターンをよく知っている人物だ」


「ハッ、まさかッ!...ヤギね!」


「違うだろ・・・・」


ーーーーー


翌日、鑑識にオオカミは来ていた。

早速マーゲイを呼び、結果を聞く。


「頼ん出たやつの結果は出たか?」


「ええ。成分を調べたら、ラムネであることが判明しました」


「ビンゴだ」

と言い、指を鳴らした。


「お、お役に立てたのなら光栄です!」


「ありがとう。この前のライブ楽しかったか?」


「あっ?えっ?ああ、そりゃあ勿論!」


「また持ってくるよ」


そう言い残して、鑑識を去った。


偶然にも出た先の廊下でキンシコウに会った。


「そっちはどうだ」


と尋ねると、彼女は気まずそうな顔を見せた。

私は、それですべてを察した。


「・・・手をかすよ?あの博士がやられたんだ。

気持ちは同じだろ」


「・・・わかりました。あなたの言う事を聞きます」


「意外だな。ヒグマがいないからか?」


「いえ、疑問なんです。何故、あなたみたいな人が、冷遇されているのか。

私は過去にとんでもないことをしたとしか、先輩には聞いてません。

一体何が・・・」


「その話は、あまり自分の口からは話したくない」


と正直に言った。


「・・・まぁ、遅かれ早かれ、誰かから話されるだろう」


不思議な人だと、キンシコウは思った。

まるでこれから起きる事を予知するような口ぶりだったからだ。


「わかりました。その件は置いといて、わかった事を教えてくれませんか?」


「ああ」


私は別室で、推理した内容をキンシコウに伝えた。


「・・・つまり、まとめると、


博士は甘い物として、ラムネを食べていた。

犯人によって、ラムネと薬を入れ替えられた。

そして、死んでしまった。


ということ?」


メモを朗読し、再度尋ねた。


「そうだ。自殺ではなく、他殺だ」


「と、なると犯人は間違いなく彼女ですが・・・、

動機は?それにアリバイが・・・」


「アリバイのトリックは簡単に崩れる。

博士は棚にいつもお菓子をしまっていた。

棚に置いてある瓶を薬の入った物に入れ替える。

甘いものが食べたくなった博士は、棚から取り、食べる」


「なるほど...。確かに、アリバイは作れますね。

博士が食べるまで逃げ回っていればいいんですから」


キンシコウが肯いてくれた。


「あとは動機だが、それは私が吐かせよう」


「・・・本当、不思議ですよね。マジシャンみたいです

あなたの話術は凄い」


唐突に褒めたので、少し困惑した。


「あ、ああ。ありがとう」


「宝の持ち腐れですね・・・。才能が有るのに」


彼女は、小声で呟いた。

本当に私の過去の事が気になっているらしい。


今、過去の話をする気は全く無い。私は大きく息を吐いた。


「明日の朝、図書館へ行く。

多少厄介事になってもいいように君の部下を連れてきてほしい」


「それは・・・勘ですか?」


「念のため、とだけでも言っておこう」


私はそういう約束をキンシコウと交わし、翌朝を待った。


ーーーーー


キリンには、キンシコウ達にある指示をしてくれと頼み、

図書館へ向かった。下手に刺激させると怪しまれる。


まずは単独で乗り込む。いわば私は、囮である。


一方図書館では


「かばん、美味しかったですよ」


「いえ、助手さんが気に入って貰えたなら嬉しいです」


彼女は、軽く咳をし、


「今は、博士ですよ」


と言った。


「なんか、変な感じですね」


苦笑いを漏らした。



オオカミが到着したのは、その会話から1時間後であった。


「お邪魔します」


と挨拶をし、図書館に乗り込んだ。


「あっ、オオカミさん!」


かばんが嬉しそうな声を上げた。


一方の助手は、机で本を読んでいた。

私が挨拶した瞬間、少し目線を上にあげ、再び本に戻した。



「今日は、いいニュースと悪いニュースがある」


かばんはきょとんとした顔を見せた。

助手は相変わらず無視している。


「まず、いいニュースからだ。博士殺しの犯人が分かった」


そう言うと驚いた声をかばんが上げた。


「そうなんですか!やっぱり、オオカミさん凄いですね!

じゃあ、一体誰が・・・?」


「それが悪いニュースだ。犯人は、目の前にいる」


「・・・・えっ?」


いつの間にか、本を盾にするように、それを隔てながら目を

私に向けていた。


かばんも察したようだ。


「ま、まさか、でもそんな!嘘ですよ!あんなに仲が良かったんですよ!」


「そう・・・。仲が良すぎた故だ。なぁ、そうだろ、助手さん」


彼女は、真っすぐ前を見たまま、本を閉じ、ゆっくり呼吸してから、口を開いた。


「・・・何故私が博士を殺さなければいけないんですか?」


「私は、目を見ただけで真実がわかる」

といったん前置きを挟んだ。


「君は、博士を欲しかった。そうだろ?即ち、愛していた」


「・・・・・」


彼女は黙っていた。


「最初は、肉体的に愛したいと思っていたかもしれない。

だが、愛する対象が変わってしまった。肩書きにな」


「か、肩書き...?」


かばんが細々と声を上げた。


助手は目線を下に落としていたが、何も発さない。

私は尚も話を続ける。


「博士は...。元はアフリカオオコノハズク。

博士というのは、彼女が自ら名乗っていたあだ名に近い」


「あだ名なんかではありませんよ...」


突然に口を開いた。


「では?」


「名誉」


「ふーん...」

私は、つまらなそうな声を出した。


「・・・私はずっと博士の助手をしてきました。

最初は、それでいいと思ってました。

ですが...」


「“博士”の名を語りたかった。そうだろ。

博士は、この世に二人もいらない。自分が博士になる為には、

彼女を消さなければならない。そう思ったんだろう」


これが、私の攻め方。

相手の考えを推測で読み、押し通す。


「・・・・」


再び助手は黙り始めた。


「話は変わるが、ラムネを博士に勧めたのもあんただろ?

新しい物好きだったからな。博士は

ところで、何で大量に口に含んだか知ってるか?

博士は、あんたの言いつけを守ったんだ。

“アレをこういう風にして食べると美味しい”ってな。

目を閉じてみろ、浮かばないか。あの楽しかった日々を、

純粋に愛していた日々を・・・」


助手は手を握ったまま、小刻みに震えていた。


実は、私の口から全て出てくる言葉は全て作り話だ。

携帯の予測変換の様に、次から次へと出てきた言葉をつないだだけだ。

そんな出鱈目な言葉でも、罪を犯したものへは効果は絶大である。


「さっきから博士博士博士博士って・・・

博士はこの私なのです!そう気安く神聖な名を呼ぶんじゃない!」


いきなり逆上し、本を私に投げつける。


「おっと!」


後ろに下がる。その瞬間、


「えっ!?」


かばんの声が聞こえた。


彼女は私と、助手のちょうど中間に居た。


私を本で仰け反らせた隙に、かばんを狙ったのだ。


「かばん...、力になるですよ」


助手は右腕で彼女を抑えながら、左でどこから出したか分からない

ナイフを突き立てていた。


「・・・、冷静だったお前がそんなことをするとはな。見損なったよ

それを離しな」


「今更説得しようとしても遅いのです。あなたも殺してやる。

博士を侮辱した罪で」


「おいおい、罪をかぶったヤツは誰だ?

それに博士ってどっちの博士だ、お前か?死んだ方か?

少し頭を冷やしたらどうだ」



「うるさいのです!かばんがどうなってもいいのですか」


「お前がそう言う手段に出るんだったら...」


私は、服からアレを取り出す。


「殺してもいい事になる」


「拳銃ですか?あなた、確か捜査権無いんでしたよね。

窓際部署だと聞きましたよ。もしそれを撃ったら、問題になるんじゃないんですか?

このかばんに当たるかもしれないのに」


彼女はもう一度かばんを前に出し、盾にする。


「もし私が間違えてかばんを撃ったら、その時はその時だ。

クビどころか、お前と一緒に務所に入るかもしれん」


「・・・あなたは自分が今いる警察の立場を捨ててもいいんですか?」


「もちろん」


「私は違いますね。何が何でも博士の名を守りますよ」


「肩書きや地位というのは、自己心を満たすだけで何の価値にもならない

何時だって捨てられる。だから私は、・・・お前を撃つ」


バァン


私が脅しで空中に撃ったその瞬間だった。


それを合図にして、後ろの窓から、スタンバイしていた

キンシコウ達が一斉に入り込み、助手を取り押さえた。


私は、取り押さえられ、地面にひれ伏す助手を見て、こう投げかけた。


「お前は一瞬にして地位を失った。守るんじゃなかったのか?」と。


その時の彼女の顔はとても悔しそうであった。


「かばん、大丈夫か?」


「・・・また、助けられましたね」


私と彼女は、前にどこかで会った事があるはず

なのに思い出せなかった。

それが顔に出ていたのか。


「・・・覚えてないんですか?」


と聞かれた。

直ぐに、彼女は


「後で話します」


と言った


ーーーーー

事件解決後、キンシコウは警視総監の部屋に足を運んでいた。


「・・・キンシコウ。話とは何なのだ?」


「今回の事件についてです」


「ああ、博士の件...、聞いた時は驚いたのだ」


「驚いた所、申し訳ないのですが、タイリクオオカミに協力してもらいました」


「・・・・やっぱり自ら首を突っ込んだのか」


「いや、違います。今回は私が頼みました」


「頼んだ・・・?」


「アライ警視総監、何故彼女の様な優秀な人材に捜査権が無いのか

理由がわかりません。過去に何があったのか、お聞かせください」


「・・・、わかったのだ。座って聞くのだ。

過去に何があったか・・・」

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