06:性夜(完結編)

「雷堂って……お前もしかして……」

「ククク……お前らのリーダーだった男、雷堂はもういない。ここにいるのは俺の忠実なしもべ"ダーティブラウン"だ……」

「そ、そんな……」

「本(ry」


 戦いに勝って油断した瞬間の不意討ちとリーダーの裏切り、二重のショックを受けた戦士達は狼狽えた様子でこちらを見ている。なかなかいい気味だ。この勢いに乗って今度こそ奴らを撃破してやろう。


「行け、ダーティブラウン!」


 俺の指示を受けた雷堂は右手をつき出した状態で腰を落とした姿勢を取る。あいつの必殺技ジャスティスボンバーの構えだ。それを迎え撃つべく、四人のヒーロー達も各々の必殺の構えに入る。


「……」

「…………」


 暫く沈黙が続く。ジャスティスボンバーという圧倒的なリーサルウェポンを持つ雷堂と、個々の能力では劣るものの人数で優位のあるその他四人の戦闘力はほぼ同じ。剣の達人同士の戦いは一瞬で決着がつくと言うが、同じように両者はまさに今その一瞬が訪れるのを待っていた。


「……っ!」

 

 先に動いたのは雷堂だった。構えていた右手からジャスティスボンバーが発射される。あちらはそれからほんの一瞬だけ遅れて各々の必殺技を放とうとしたが、最高出力のジャスティスボンバーの攻撃速度はあまりにも速く、四人の技が発動するより先に大きな爆発が巻き起こった。


「ぐっ……ぐうっ……」

「ここまでか……」


 生きてこそいるものの、強烈な一撃をモロに喰らって地に倒れ伏すヒーロー達。もはや満身創痍でこれ以上の戦闘を行えるような状態ではない。これまで俺の天才的な企みをことごとく邪魔してきたこいつらもリーダー1人寝返ればこのザマだ。さて、さっさと終わりにして今度こそクリスマスを地獄に変えてやろうじゃないか。


「雷堂、こいつらにト……」

「じゃすてすふぁいぶ~!!がんばえ~!!」


 雷堂に止めを刺すよう指示しようとしたその時、戦いを見ていた野次馬の中から声が上がる。そちらに目を向けてみると、ジャスティスガンソード(好評発売中)の箱を大事そうに抱えた小さな男児が立っていた。圧倒的に有利な状況に置かれているにも関わらず、それを見た俺の背中を一筋の汗が伝う。悪役の勘が告げているのだ、「これはヒーローの逆転フラグだ」と。


「頑張ってーー!」

「負けるなジャスティスファイブー!」


「「「「頑張れーーー!!!」」」」


案の定、声援は大きくなっていき、気付けばいつの間にか倒れているヒーローたちの周囲には正体不明の光が漂っていた。光が四人の身体を包み込むと、ジャスティスボンバーによって負った傷がみるみるうちに塞がっていく。


「おぉ、力がみなぎってきた!」

「これでまだ戦えるわ!」

「今なら勝てそうだ!!」

「みんな!応援ありがとう!!」


「なんだとッ!こ、こんなことあり得ない!!あるわけがない!!」


 四人が再び立ち上がると、その身を包んでいた光はブルーの腕の中で小さく収束し、1つの物体に変わる。それは端から見ると、太い筒のような形をしている。


「こっ、これは……!」


『説明しよう!これはジャスティスバズーカ(2018年発売予定、価格未定)!皆の正義の心が武器になったものである!!』


「なるほど!」

「よし!!やるぞ!!!」


 おいちょっと待て、なんだよその展開は。正義の心が武器になるってなんだよ物理法則ガン無視かよ。つーかあの天の声って編集じゃねーのかよ。チクショウいっつもそうだ、そうやってお前らは都合よく逆転しやがる。ってかあいつらもう構えてるじゃねえか!クソッ、こうなりゃ"アレ"を使うしかねえ!!


「おい雷堂!アレを使うぞ!」

「(ry いやでもアレはいざって時の」

「今がそのいざって時だろ!!」

「ええい、仕方ない!」


 雷堂は右手を突きだしもう一度ジャスティスボンバーの構えに入る。"アレ"はあまりにも危険な兵器だから可能な限り使わないようにと思っていたが……いや、今更考えても仕方がない。一度発動モーションに入ってしまったらもうキャンセルはできないのだから。


「へへっ!今の俺達ならジャスティスボンバーにも負けないぜ!!」

「レッド!いまお前の目を覚まさせてやるからな!!」


「いくぜ!!」


「「「「ファイナルジャスティスアタック!!」」」」


 四人が構えたジャスティスバズーカ(2018年発売予定、価格未定)からジャスティスボンバーの数倍の太さはある光の束が照射される。それを俺の目が捉えた次の瞬間、轟音と共に視界に映る全てが消し飛んだ。無論、俺自身も。




 ……俺が"アレ"を作ったのは決して今回の作戦で使う為ではなかった。雷堂のスーツの強化が終わって、ネットサーフィンをしていた時、たまたま懐かしいコピペを見たのがきっかけでちょっと試したいと思った、そんな出来心だったのだ。


____________________

光の速さでケツからうんこ出したらどうなるの?


リアルな話すると多分お前の住んでる大阪が消し飛ぶ 

光速でウンコほどの質量(約200~300グラム)

の物体が動いたら想像を絶する衝撃波が発生する

ましてそれが地表と激突したら地球がヤバイ

お前のウンコで地球がヤバイ

さらにリアルな話をすると

今現在の理論では物体は光速に近づくにつれ質量は増加するので

射出されたウンコが光速なった瞬間に質量=∞(無限大)となる為

重力崩壊を起こし想像を絶するブラックホールが発生する

それが一瞬で太陽系飲み込み、5秒以内に銀河を飲み込むので宇宙がヤバイ

お前のウンコで宇宙がヤバイ

またウンコ側をリアルに説明すると

光の速さでウンコをすると、ウンコはスターボウを見る

ウンコの後方は漆黒の闇が、そしてウンコの進行方向には

全ての周囲の風景が一点にあつまるように見える

そして、ドップラー効果で七色に輝いて見える

お前のウンコ素敵

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 これを実現させる為のウンコ発射装置を俺は雷堂のスーツの右手部分に仕込んでいた。本当はクリスマスの終焉を見届けた後にシェルターでも用意してゆっくり観測を行うつもりだったが仕方ない。あのまま投獄される位なら、いっそこの世界ごとクリスマスを消したほうがきっとマシだから。



あぁ、全部崩れ落ちていく……世界の全てが……

 




 






 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る