Chapter25 天使と神の子
「よぉーし! 皆の者! 我々は門の外で待機する!
周囲の警戒だけは、おこたるなよ! ガッハッハ!
では、カルミナ王、お気を付けていってらっしゃいませ。」
あー、そうか、王であるカルミナしか、ここは入ってはいけない感じなのか…
残念だ、天使に会ってみたかったが仕方がない。
カルミナが帰ってくるまで、ミサをイジメるか…
「じゃあ、カルミナ! 俺も外で帰りを待ってるから!」
「ん? 何を言ってるの? Kも一緒に入るんだよ?」
「え? いいのか? だって、ここは王しか…」
「Kは私の婚約者で、扱いは王家と同等って言ったでしょ〜だから大丈夫っ! さぁ、一緒に行こっ。」
俺はカルミナに手を取られ、門に向かった。
この時俺は初めて、カルミナに触れた。
とても小さく、とても暖かい手だった。
俺達が近づくと、自動的に門が開きだした。
どういう事だ?これも魔法の一種なのだろうか。
人を感知して、自動で開く扉…俺はコンビニの自動ドアを連想して、1人でウケた。
「ようこそいらっしゃいました。カルミナ王。
…? そちらのお方はどなたでしょうか?」
この人が神族の生き残り、この塔の住人だろうか
やはり俺の予想は当たっていたのかもしれない。
この世界で、神族というのは、神を崇拝し、神の教えを請う者達。
恐らく間違いない。塔の中は、教会、いや、大聖堂といったほうが雰囲気は近いし、
修道服を身に纏った人が数人いる。
この人達は聖職者だ!
「この方は、私の婚約者です。名を、小田 圭といいます。
今後もお目にかかる事があると思いますので、以後お見知り置き下さい。」
「あ、どうも…小田 圭です。よろしくお願いします。」
カルミナの喋り方が普通なのが、一瞬驚いたが、
確か他に主人を持つ者には[覇気]は効かないんだったな。
「これはご丁寧に。申し遅れました。わたくしは、
ダブルネームを[神話]、名をサラハと申します。
以後、お見知り置きを。
あ、神話といいましても、神の逸話との意味では無く、
神との対話でございます。」
とうとう神様とお話しできる人まで出てきたか…
もしもーし! 神でーす。とか言うのかな…
俺が会った3人目のダブルネーム持ち。うむ、美人だ。
「あ、それから、ご紹介が遅れました。あちらに座っておられるお方が…」
薄い桃色の髪をした女の人、いや、女の子?が、ペタペタと音を立て歩いてきた。何故、裸足なんだ?
答えはすぐに分かった。
「どうもぉ〜はっじめましてん! 私は天使の、
ナミエルちゃんでーすっ! にひひぃ、よろしくね!」
純白のワンピースに、背中には白く大きな翼。
間違いなく天使だ!
空を飛べるから、恐らく靴は必要が無いのだろう。
ただ、俺のイメージだけで天使を語ってしまうなら、頭の上の輪っかが無いのは残念だ。
「君ぃ〜、圭ちゃんだっけ? なかなかやるじゃない〜カルミナ王を落としちゃうなんてさぁ〜!
圭ちゃんまぁまぁカッコいいし、ナミエルちゃんに乗り換えちゃってもいいんだよ〜?」
や、辞めろ! うでにしがみつくな!
お、俺は女の子に耐性が無いんだ…
な、なかなかに巨乳ではないか…ゴクリ
「わ、私の婚約者に、な、何をされてるのでしょうかぁ…? ねえ、ナミエル…ちゃん?」
ゴゴゴゴゴッ…
塔が揺れてる! カルミナの怒りで塔が揺れてる!
「冗談だってぇ〜もうっ、本当すぐムキになっちゃうんだからカルミナちゃんっ! そこが可愛いんだけどねっ」
おっぱ、いや、失礼。ナミエルちゃんは少し問題児っぽいキャラなのだろうか。
何と言うか、ご馳走様です。
「はいはい、お2人共、再開の挨拶は済んだようですし、これより本題に入ろうと思うのですが、よろしいですか?
…では、わたくしが3日前、[神話]によって神からもたらされたお話をお聞かせします。」
一体どんな話が始まるのだろうか、俺はカルミナと目配せをして、静かにサラハさんの言葉に耳を傾けた。
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