Chapter24 到着、中立の塔


俺達は再び馬車へと乗り込み、帆を勧めた。

その後、数時間走り続け、日が暮れようとしていた。


「よぉーし! お前達、今日は、この辺りで陣を張り野営をする!

準備にかかれ! ガッハッハ」


辺りの見通しがいい、開けた平野でキャンプをする。

俺は、こんなに開けた場所は危険じゃないのか? と、

ジャックさんに問いかけた。

周囲全方位から、敵の襲撃にそなえなくちゃいけないし、また囲まれるのでは? と。


しかし、そこは流石の騎士団団長。

素人の俺とは考え方が、全然違った。


全員戦闘に長けた者ばかりならば、狭い岩場だろうが湖の横だろうが、一向に構わないのだ。

しかし、戦闘のできない者、護るべき対象がいる場合、

その者の退路を確保する事が1番になる。岩場や湖を背にした時に敵に囲まれれば、退路は無くなり、

より危険に晒されてしまう。


夜間、見張りの兵を増やすという労力は増えるが、

リスクを減らせる事には変えられないとの事だ。


すっかりと日は落ち、辺りは暗闇に包まれた

俺達は火を起こし、夕食を取る事にした。

モルゾイの肉を一欠片、パンを1つ、それぞれ皆んなに配られていった。


「えぇーっ! 晩ごはんこれだけですかぁー? ううっ…

全然足りないですよぉ〜…」


「うるせぇ! 黙って食えミサ! だいいち、ゴブリンとの戦闘だって俺に押し付けやがって…て、は?」


それは一瞬の出来事だった、パンと肉を同時に一口で食べてしまった。 お前は蛇か!


「…お腹すきましたぁ…ところで、圭ぽん、美味しそうな物持ってますねぇ〜私が食べてあげましょうか?」


ヤバい、一周回ってミサとの絡みが楽しくなってきた


「わーったよ! ほら! 俺のパンやるから、しかしよくそんだけ食べて太らないな、ミサ。」


「ふっふっふ、それはきっと私が成長期だからでしょう…

あと、数年でダイナマイツバディですよぉ!」


「はいはい。成長期って、そーいや、ミサの歳はいくつなんだ?」


「私ですか? ピッチピチの17歳ですよ〜…ま、まさか、

私を狙っ」


「分かった。それ食ったらすぐ寝ろ。馬に敷かれて寝ろ」


カルミナのいる馬車の近くには、ヴァイスさんとジャックさんがいる。 2人とも寝ずに警護するのだろうか?

あの2人が着いていてくれるなら大丈夫だろう。

俺も今日は疲れた…少し休ませてもらうか……



------「…まぶっ…やべ! 朝だ! 完全に寝ちまってた…

み、みんなは…?」


騎士団の人達が片付けをし、出発の準備をしていた。

カルミナの馬車に立ち寄り、無事を確認した。


「おはようK! もうすぐ出発だよぉ〜」


あぁ、やはり今日もカルミナは可愛い!

あれ? そういえばミサの姿が無い…

ま、まさか魔物に…?


いや、普通にまだ寝ていた。

丸い石の上で、体が反り返った状態で寝ていた。

ことごとく意味のわからん奴だ。


「おい、起きろ! さもないとお前のスカートを捲り上げて、頭の上で結んでから、妖怪巾着袋女として今日1日過ごしてもらうぞ!」


「…だ、団長ぅ〜もう食べられ…むにゃ……

ハッ? こ、ここは何処ですか! 知らない天井…」


「わかったから早く行くぞ初号機使い。」



馬車でカルミナと数時間談笑しつつ、俺達は前へと進んだ。

その間、やはりカルミナが怖いのか、ミサはずっと黙り込み、小刻みに震えていた。


「ガッハッハーッ! 見えてきたぞー! お前達!」


外からジャックさんの声がしたので、窓から顔をだすと。

レンガ作りで、円柱型の細長い塔が見えた。


「おぉーっ、あれが中立の塔かー。なぁ、カルミナはよくここに来るのか?」


「そんなによくはこないかなぁ〜? お話があるから来て下さいって言われた時しかこないしね〜。

この前に来たのは、半年ぐらい前だもん。」


「……………ガクガク……ブルブル…」



神族の生き残りとは、どんな人達なのか

天使族とは、本当に天使なのか

俺は新しい出会いに心を躍らせていた。

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