Chapter21 中立の塔へ


俺は顔を洗い、身なりを整え、ロアから貰った長剣を腰に携えた。

目が覚めて、まだ異世界に居られた事を神に感謝しつつ、

俺は気合を入れる為に両手で頬をパチンと叩き、気合を入れ直した。

俺は生まれ変わるんだ!


「よぉーし! 準備完了! えーっと、あのアホの詰所は……

ああ、ここだ! おはようございまーす。

あのアホ…いや、ミサさんは居ますかー?」


「あら、小田様、おはようございます。

ミサでしたら今あそこで朝食を…」


はあぁぁぁ、綺麗な人だなぁ〜

綺麗なブロンドの髪に蒼い瞳。

この人だけが他の魔法騎士とは、違う刺繍の入ったローブを着ているから、この人が魔法騎士の団長なのだろうか。

つい、見惚れてしまう…

おっといけない、今はミサに話しをつけねば!


「えーっと、ミサは……あー、いたいた、っておい!」


ミサの前には、山積みにされたパンに特大ボウルに入れられた野菜のスープ。

それを、休む間も無く食べ続けている。


「…おい。ミサ、お前、朝からどんだけ…」

「んん、んがむん、もんがあががんんんーむん?」

「おい、誰か通訳を呼んでくれないだろうか?」


「んぐっんぐっ、プハァッー!

小田ぽん、こんな朝からどーしたの?」


一体何なのだコイツは…朝からよくそんなに食べられるもんだ。

いや、もしかしたら魔法騎士と言うのはこれぐらい食べるのが普通なのか?と思い、他の人を見たら普通に1人でパンを1つだけだった。


「あ、あぁ、今朝カルミナの所に、中立の塔って所から使者が来たみたいでさ、何やら大事な話があるみたいだからこれから向かうんだけど、

カルミナが魔法騎士も1人ぐらいは連れて行きたいって言うから、お前行かないか?」


「は? 嫌ですよ。」


キィーッ! むかつくー!


「な、なんでなんだい、ミサさん? 」


「だって、小田ぽんに誘われたから来たんだって思われたら、なんか癪に触るじゃないですかー。」


お前の中で俺は一体どんな奴なんだよ!


「カルミナの命令だって言ったらどうだ…?」


「えぇぇえ!おおお王のめめ命令ですかぁあ…

そそ、それなら行かせて頂きますぅうー!」


そうだった、こいつらにとってカルミナは絶対的な王であり、恐怖の対象でもあるのだった。

コレは使える。覚悟しておけ!


「よし、じゃあ準備が出来たら門に来てくれ!」

「はぁ〜い!」



すでに門の前には、カルミナ、ヴァイスさん、第2騎士団の方達が集まっていた。

馬車と、馬が別に10頭、騎士団の馬だろう。


「お待たせ、カルミナ!もう少しでミサも来ると思うから。」


「…うん、わかった。」


やはり皆んなの前では小声なんだな。


「よぉー! 始めまして! 圭くん!

俺は第2騎士団団長のジャック クロウだ!

ジャックと呼んでくれ! ガッハッハ!」


とても大柄な男だ。見るからにパワータイプだな…

しかし、気さくでなかなかに人は良さそうだ!

やはり、団長と言うからには相当に強いのだろう。


そこにようやく、あのアホ…いや、ミサが来た。


「おおおお待たせしましたぁあっ! とっ、とっ、うわぁ、ぶふぇ〜〜…」


遠くから見ていて、もしかしたらやってくれるんじゃないのか? と、期待していたのだが、本当に期待を裏切らない奴だった。見事に顔から転んだ!

ナイスヘッドスライディング!



総勢10名の騎士団達は馬にまたがり、

俺とカルミナ、あと馬に乗れないミサも馬車に乗り込んだ。

馬車の騎手はヴァイスさんだ。


「我が団員達よ! 目的地は中立の塔である!

我らの役目は死しても己の屍で王を守る事だ!

全ての敵は薙ぎ倒せ! ガッハッハーッ!

ではゆくぞぉ! 出発だー!」


「オオオオオォォォーッ!」

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