Chapter20 異世界2日目


チュン。チュンチュン、チチチチ…


「…ねぇ! K、起きてってばぁー朝だよ〜」


「…ん? あ、あぁ…もう朝か…おはようカルミナ。」


俺は、元の世界の夢を見ていた。

散らかって、ろくに掃除もしていない部屋で自堕落な生活。

定職にも付かず、暇さえあればギャンブル。

親戚、すれ違う人達の冷ややかな目線。

夢の中でさえ俺は、死にたいと思ってしまった。

もしかして異世界に行った事自体が、夢だったんじゃあないのか? とも考えていた。


眠る前に、もし次に目を開いた時、元居た世界に戻っていたとしたら、俺は生きていこうと思うのか?

はたまた、2度目の自殺を図るのか…

そんな事を考えながら眠りについたもんだから、

そんな夢を見てしまったのかも知れない。


目が覚めて、カルミナの顔を見た時は本当に安堵した。


「おはようーK。 今朝早くにね、中立の塔からの使者が来て、報告したい事があるから来てくれないかって話があったの。天使族も呼んでるみたいだから、流石に行かない訳にはいかないの。

だからKも、一緒に行こ?」


「…ん? あぁ、もちろんいいよ!

何せカルミナの騎士ナイトだからな、一応。

……って、さらっと言ったけど、天使族ってなんだ?

それに、中立の塔だって…?

この世界には天使がいるってのか?」


「あれ? 言ってなかったかな? じゃあ、少しだけ簡単に説明するね、

まず、この世界は4つの国と、1つの中立の国で成り立っているの。

東のイルム王国 西のガルム帝国

北の天使族の国 南の悪魔の国

そして神族の生き残りが中立国。

中立国はこの4つの国のちょうど真ん中に位置しているの。

私達、イルム王国は天使族とは友好関係、

知っての通り、ガルム帝国とは敵対、悪魔とも、敵対関係にあるわ。

ガルム帝国は悪魔と友好関係にあるし、天使族は悪魔と敵対関係にある…。

こんな所かなぁー?」


天使に悪魔に神だって?

とんでもない世界じゃねぇかー!

いや、異世界はやっぱりこうでなくっちゃ!


「あ、あ〜、何となく分かったよ… 敵はガルム帝国だけじゃなかったんだな、まさか悪魔が相手とは…

それで、これからその中立国に行くって事だよな?

そこは、ここからどれぐらいで着くんだ?」


「んー、そうだね〜、馬車で丸2日ぐらいだったかな?」


「へー。結構かかるもんだなー。魔法か何かで、

一瞬で行けたりしないのか? そんな魔法とかありそうなんだけどなー。」


「アハハッ…何言ってんのよぉ〜もぉー、

テレポート系の魔法を使える人なんて、本当の大魔法使いぐらいだよぉ〜。」


へぇ、そうだったのか。

何か最近テレポートっぽい物を見たような気もするが、

恐らく気のせいであろう。


「それでね、行くのは私とKとヴァイス、それに第2騎士団、

あと、魔法騎士も1人ぐらい連れて行こうと思ってるの、あまり大勢で行っても迷惑になるだろうし、

かと言って途中で襲撃にあっても怖いしねー。」


「んー、分かった! 所で、魔法騎士は誰を連れてくか、決まってるのか?

決まってなけりゃ、ミサの奴連れてこうぜ!」


「…ミサちゃん? それは何でなの?…」


カルミナさん! 顔、顔ー! 怖いっすよ!


「い、いや、俺も、知らない人ばっかりよりは、少しは知ってる人が居た方がいぃなぁ〜…って…」


カルミナのジトーッとした目線が痛い。

俺はただ、あいつのおかげで危ない思いをしたので、ささやかな仕返しができればと思っただけである。


「まぁ、いいけどねっ、プンッ」


「よし! じゃあ、準備するついでにミサに声掛けてくるわ!」


いよいよ異世界の冒険らしくなってきたぞー!

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