Chapter19 激動の1日


いやー、やはり我が家が1番落ち着きますな!


俺はあれからカルミナに、俺達がゴブリンを倒した事と、モルゾイ捕獲までの話をした。

最初は、俺の英雄譚を我が子の話のように笑顔で聞いてくれていたのだが、

魔法騎士のバカな企みで、結局2人だけで捕獲に向かった話をした時は鬼の形相になっていた。


「ねぇ…K…? その魔法騎士のお名前は…なんて言うのかしら?

そう…あの、ミサちゃんね…?

懲罰房に送ってやるわ! あのダメ魔法騎士めが!」


カルミナ殿! ご乱心にござる!


何をそんなに怒っているのか…

もしや!場所俺と2人きりで行った事による、

俺に対してのジェラスィ〜では?

ふふっ、異世界では、俺はモテるのであろう。


「…ったく、2人でなんて、あの子は何を考えているのよ…

2人に何かあったら、誰が1番悲しむと思ってるのよ

…もう…。」


あぁ、カルミナは、俺の事もミサの事も等しく心配なんだろうな。

本当に優しい子なんだと思う。

イルム王国の人間は家族同然みたいなもんなんだろう。


「ま、まぁカルミナさん、ミサも悪い奴じゃあないし、

許してやってくれよ、な?

それにミサの魔法がなけりゃ、俺達今頃ヤバかったかもしれないんだしさっ!」


ミサの事を何とか庇ってみようとしたのだが、

よく考えたら、そのヤバい状況を作り出した張本人は、まさしくあの野郎だった。すっかり忘れていたわ!


「…その…ミサって子…す、好きに…なった…?

…あっ、いや、何でもないの! 忘れて!」


「…ん? あ、あぁ…」


な、なんだ今の質問は? 凄いドキッとした。


「ね、ねぇ、疲れたでしょ? お風呂入ってきなよ。

私はもう、先に入ったから。 そろそろ寝る時間だしね!」


「お風呂かー! あぁ、頂くよ!」


王室を出て、すぐの所にお風呂があるのはリサーチ済みだ! 見た感じこのお風呂も、王族専用だろうな。


中へ入ると、まぁデカイ! この規模のお風呂を今迄は、カルミナ1人だけで使ってたのか…

マーライオンみたいな物まであるし、気分はセレブだ


「ふぁぁぁ〜…こりゃ、いい気持ちだわ〜…

しっかし、今だに異世界に来たなんて信じらんないよな〜…

一度は自分から死のうとしたんだよなぁ、俺…

なのに今は生きる事が楽しいと思ってる…

人間、環境が変われば何とやらってやつですかねぇ」


本当に異世界に来れてよかったと心から思った。


「あぁぁぁ! そう言えば、この後って寝るんだよな…

ま、まさか同じベッドで…マジかよ…

ど、どうすりゃいいんだ…?

くっ、伊達に童貞を守って来た訳じゃねぇな…俺。」


俺は風呂から上がり、顔のニヤけが止まらなかったので、

自分の頬に平手打ちをし喝を入れる。

部屋の前まで来たが、ドアノブを持つ手が震えている

挙動不振になりながらも部屋に帰ってきた。


「あ、戻ってきたね。じゃあ、寝よっかー」

「う、うん! ね、寝るぞ!」


うぉぉお!カルミナのベッドに俺も……

カルミナのベッド!…の横の床に布団が敷いてある。


信長の野望は潰えたか…

でも、少し安心した。 やはり俺はチキンでいい。


「おやすみ、カルミナ。」

「うん、おやすみ、K。」


今はこれで幸せなんだ、これ以上を求めたらバチが当たるだろう。

さぁ明日は何しよっかなぁ……スゥ スゥ スゥ…



「…私、あなたに出会えて、本当によかったと思ってるんだよ?

神様なんて、いじわるしかしないはずなのにね…

これだけは神様に感謝だよ…おやすみなさい。K。」

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