Chapter16 素人剣士とヘタレ魔法使い


何だろう… 妙にリラックスしているゴブリンを見ていると、何だか腹が立ってきた…


「...おい、ミサ。これは何なんだ? お前はあれか?

ゴブリンを接待でもしてんのか? あの打たせ湯のどこにリヴァイアサンの要素が含まれているんだ?」


「エッへへ〜どう?凄いでしょ私の魔法!」


ダメだこいつ 真性のアホだ …

何故この状況で鼻を高くしていられるんだ?

状況わかってんのかミサのやつ…

ゴブリンに至っては、うつ伏せになって背中に打たせ湯してやがるし…


「あー、小田ぽん! 私いい事思い付いたよ!今の内に腰に付いてるその剣でゴブリン切っちゃったら?」


なるほど!


「そりゃ、名案だわミサ!! いっくぜぇー!とりゃあぁぁー!」

ザシュッ ギィエェェェ!!....


「はぁ...はぁ...た、倒した…んだよな…? 」


いくら魔物とはいえ、剣で斬るのは気持ちのいいものではない。これは相手が人なら殺人なのだから。


「はぁぁ〜とりあえず一安心だな。一体いつから着けられていたんだか...」


「え? 門出てすぐだよ??」


はやく言えこの野郎


ゴブリンとの初戦闘を終え、しばらく歩くと目の前に森が見えてきた 。

この辺に牛が、いやモルゾイが生息しているのだろう 辺りを見渡すが、牛っぽいのは見当たらない。


しかし、よく考えたら捕獲と言うがどうやって捕まえるんだろうか? 首輪でも着けて引っ張って帰る?

まぁミサの奴だって初めてじゃないだろうし、連れて帰る方法くらい知っているだろう。


「なぁミサ、この辺で間違いないんだろ?」


「はい! そうですね、前に先輩と来た時もこの辺でしたしー」


「ちなみに前来た時は、どうやって連れて帰ったんだ?」


「え??連れてなんて帰れませんよ! 何言ってるんですかー冗談きついですよ? 小、田、ぽん☆」


「いや、だったらどうするんだ? 殺すの..か..?」


「当たり前じゃないですか! じゃないとこっちが殺されちゃいますー」


牛に殺される? 確かに暴れ牛やら猛牛やらそういう類いの牛は確かに危険なのだろう。

しかし、生きている牛を殺すのは気が引けるな…


ズンッ ズンッ ズンッ


「おわ! なんだ地震か? おい、ミサ...おーい、ミサさーーん! 聞いてる?」


「はわわわわわ きききききままししたよぉぉお..」


「お?とうとうお出ましかー? 一丁カルミナの為に覚悟を決めて牛を.....牛...うしぃぃい!?

はあぁぁぁぁぁあーー?

こ、これのどこが牛なんだぁぁぁあー!?」


「ううううしっ! て、なななんですかー!?

モモモルゾイだってぇ、言ってるじゃないででですかぁ!」


確かカルミナは言っていた…

足が4本、白黒のまだら模様でモ〜と鳴くと…

言う通り確かに足は4本だ、だがそれとは別に手が2本あり、白黒のまだら模様と言うよりは黒色の体に白の線で禍々まがまがしい模様が描かれているように見える。

あと、モ〜なんて可愛らしい物なんかじゃあない!


モオオオオゥウグワァァアアアアて感じだ

口が大きく鋭い歯が見える

体長も牛ではない、もはや象並である。

いや、コレ完全にクリーチャーですわ…


「...ミサ、お前他に魔法使える..ん? ..おいミサ??」

「えへへ..えへ..」


コイツ完全に現実逃避してやがる


モオオゥウグワァァアアアアー!!!


「ヒィッ!?」「うにゃあぁぁあ!?」


怖い あまりの恐怖に押しつぶされそうだ…


「あ、あはは..私少しちびっちゃいました..うぅ..」


「わかった。みんなには黙っといてやるから冷静になって策を練ろう」


「...はぁい..グスン..」


ひとまず、森の中に入り隠れた 。

どうやら追ってくるような感じではなさそうだった

とりあえず策を考えねば 、しかし使えるカードは

素人の剣と、とんでも魔法のみ

さぁどうしたものか…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る