Chapter15 自称 大魔法使いミサ
俺は腰に長剣を携え、意気揚々と待ち合わせの門へと向かう。
俺はこの滲み出るワクワクを抑えきれているだろうか と、考えているうちにすぐに門に着いた。
「...んーと…まだ、来てないみたいだな。」
俺は暇を持て余し、転がっていた拳大の石で1人サッカーを始めるとついつい白熱してしまい、遠くまで蹴ってしまった。
と、そこに1人の女の子が走ってくる。
「すいませーん! おまたせしっ..とっ、と、ぶふぅ〜」
俺が転がした石に盛大につまずき転んでしまった。
「うわあぁぁ! 大丈夫かー!?」
「...は、はい..大丈夫です! わ、私は魔法騎士のミサです! ヨロシクね テヘッ☆」
ドジっ子キャラか うむ、これもありだな。
綺麗な刺繍が入ったローブに、水晶のつえ、頭にはカラーコーンのような、THE魔法使いとも言える帽子。
しかも、予想以上に顔も可愛い !
「あ、あぁ、よかった..そうだ、俺の名ま…」
「小田様ですよね! 聞いてますよー!
小田様って呼ぶのも堅苦しいんで、小田ぽんと呼んでもいいですか?」
なんだ、こいつも同類か
というか、この世界にはこんな奴らがゴロゴロいるのだろうか?
しかし可愛い女の子から親しくされるのは、願っても無いことなので、恥ずかしいが許可しよう。
「おう、好きに呼んでくれ!だから俺も君の事はミサって呼ばせてもらっていいか?」
ミサの顔が思いっきり引きつっている
露骨に嫌な顔をしないでもらいたいのですが
「えー、別に呼びたいならミサでもいいですけどー」
しかし! 俺も1度決めたら貫き通す男だ
「なぁ、ミサ…」
「何ですか? 小田ちん」
いや、変わっとるがな
「あ、何ですか? 小田ぽん」
「ミサの他の魔法騎士はいつ頃くるんだ?」
「えー来ませんよー? これぐらいの仕事、
この大魔法使いの私に手にかかれば、チョチョイのチョイ何ですからぁ! だから他の人達には嘘の集合場所教えておきました! テヘッ☆」
男手が欲しいと言われて来たのに一体何なんだこいつ
よほど腕に自信があるのだろう…
ここは自称大魔法使いちゃんを信用するとしよう。
「とりあえず出発するか」「おーッ☆」
辺りはすっかり、日が落ちて暗くなってきた。
城の門を出て街とは反対の道へ進む。
モルゾイは平野を抜けた先の森周辺に生息するらしい
「ねぇねぇ小田ぽんっ」
「ん? 何だ?」
「さっきから、ずっと後ろを付いてきてる子供がいるんだけど、小田ぽんの子供?」
「ばっ…何言って、だいたいなぁ俺は童貞」
振り返るとなんか居た!
子供?いや、違う、確かに背は小さいが、グリッとした目 尖った耳 ボロい布を纏い手には斧を持っている
3人がピタっと、同時に動きを止め見つめ合う。
何ともシリアスな絵だ。
「...ね、ねぇ、ミサさん...? この方はゴブリンさんとか呼ばれてないですかねぇ..?」
「はわわわわわ..本当...ゴブブブブリリンでですぅ」
「おい! 大魔法使いさん! 何震えあがっちゃってんの!? あんた強いんでしょうが!」
「そそそそうでした..わ、私、とーってもつつつ強いんですよぉぉ〜!」
キシャァァアア!!
斧を振りかぶりゴブリンが襲いかかってきた
「や、やってやらぁぁあ!!」
俺は初めて見るゴブリンにテンパり、完全に腰の長剣の存在を忘れていた 。
必死に繰り出した蹴りが、背の低いゴブリンの顔にヒットし、ゴブリンは吹っ飛んだ。
しかし、こんな物で倒せる訳も無く、すぐに起き上がり、斧を構えなおしている。
「おい! ミサ! 早く魔法使ってくれよ!
このままじゃヤバいって!」
「...わかりました..任せて下さい。私の大魔法をお見せ致しましょう...水の精霊よ我に力を与え汝..../@$€...,..」
急にキャラが変わったようだ、ミサは本当は凄いやつだったのか!?
「....出でよ!! リヴァイアサン!!」
マジで?
ジョババババババッ
ゴブリンの頭上に魔方陣が出現し、そこからゴブリンの頭にビタビタビタッと水が打ち付けられた。
なんだか気持ち良さそうだ…
例えるなら健康ランドの打たせ湯に打たれる中年のオッサンと言った所か…
ふーん、で??
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