ピンク映画専門館

※この記事では映画のラストシーンに触れています。そしてこの映画はエログロであることも断りを入れておきます。


子供の頃。地元にピンク映画専門館があった。

「あそこに子供は余り近寄ってはいけない、看板を余りジロジロ見てはいけない」親に言われるまでもなく子供ながらになんとなくそういう意識があって、遠巻きに「いけないものをこっそり見る」気分だけを微かに味わっていた。

随分前にそこは潰れて新しいビルになった。

18歳になり年齢だけで言えば合法的にポルノ映画の類を見られるようにはなったものの、やはり自分が女ということもあり「そんな気楽には見られない」「見たとしてもおおっぴらに口には出来ない」そんな気持ちに変わりはなかった。


なのでまだ渋谷駅南口にあった頃のユーロスペースでにっかつロマンポルノ特集が催され、女性専用席も設けられると知った時は「敷居が低く面白い経験が出来るなんて最高ではないか」とテンションが上がったものだ。


その時に見たのが「夢野久作の少女地獄」である。


夢野久作の短編小説集「少女地獄」収録の「火星の女」を題材とした1977年公開のポルノ映画である。

名門女子高を舞台にしたおどろおどろしい愛憎ポルノだ。

夢野久作とポルノ映画。それを力技でハイブリッドさせたトンデモ映画となっている。

しかも音楽は妙にロック。

ラストシーン、荒野で裸で抱き合う2人の少女、その傍らで発狂する校長。

狂気を最も感じるシーンであった。

そしてこの映画は確実にエロを目的に見る映画ではない。

熟女の首吊りシーンや、顔も判別出来ない程の焼け焦げた死体を見てどうしろというのだ。


エロとグロとロック。

それを楽しむための映画だ。


今年、にっかつロマンポルノの作品が42作品程まとめて円盤化される。

その中にこの少女地獄が入っていないのがとても残念で仕方がない。


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