「八つ墓村」×「黒蜥蜴」

今日のテーマは「日本の耽美×日本の名探偵」だ。

若干ラストシーンに触れる事を先にお断りしておきたい。


「八つ墓村」×「黒蜥蜴」の邦画クラシック2本立て。


「八つ墓村」は何度か映画化されているが、今回は1977年公開、野村芳太郎監督のバージョンを前提としたい。

名探偵金田一耕介を渥美清が演じている。

航空誘導員として働いていた寺田辰弥という男性が縁あって八つ墓村という血生臭い歴史を持つ村に行く事となる。そこでまた新しい事件が起きていくのだ。

八つ墓村と言えば「発狂した男が猟銃と日本刀で村人を大量虐殺した話」というイメージを持つ人は多いだろう。

日本の古い村を舞台に残酷な事件が繰り広げられる、端的に言えばそんな話だ。

終盤、村で1番大きなお屋敷が火で燃え落ちて行く中、老婆が一心不乱に仏壇の前でお経を唱えるシーンがある。

そこにとてつもない「破壊の美」を感じてしまう。


「黒蜥蜴」は1968年公開、深作欣二監督のバージョンを前提としたい。

江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が美輪明宏(丸山明宏)のために戯曲化した物が原作となっている。

諸事情により円盤化はされていないが、時折名画座でお目にかかる事がある。

私も過去2回程、名画座で観賞している。

女盗賊黒蜥蜴と彼女を追い掛ける名探偵明智小五郎の戦いがストーリーの主軸である。

若き頃の美輪明宏が妖艶な女盗賊を演じ、人間剥製などといったグロテスクなコレクションが披露される。まさに昭和のエログロ的な世界観を深作監督がスタイリッシュな映像に仕上げている。


昭和ならではの独特な血生臭い美を是非堪能して欲しい。

ある意味とても名画座らしいセレクトである、と自信を持ってプレゼンしたい。

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