「ロブスター」×「ディストピア パンドラの少女」

ディストピア。管理された世界。

大変オタク心をくすぐる概念だ。

近未来、特異な社会をテーマにした2本立てを今日は掛けたい。


「ロブスター」×「ディストピア パンドラの少女」である。


「ロブスター」は2016年日本公開、ギリシャ人であるヨルゴス・ランティモス監督による少し変わった恋愛映画である。

近未来、結婚する事が絶対である社会。独身の人間はとあるホテルに送り込まれ、そのホテルで45日以内に配偶者を見つけないと動物に変えられてしまう。

妻と離婚したデヴィットはそのホテルしばらく生活をするが、結果的にそこを抜け出して森で暮らす独身者達のグループに合流する。しかし逆に恋愛が御法度であるそのグループでとある女性を愛してしまうのだった…

恋愛が明確にルール化された世界。

結婚を絶対とするコミュニティと、恋愛禁止が絶対であるコミュニティ。

愛というものを他人から規制されコントロールされる世界の歪さ。

それを少しブラックユーモアを交えながら描いている。


「ディストピア パンドラの少女」は2017年公開、イギリスのホラーである。

むしろもっとわかりやすく言うと、SFテイストのゾンビ映画だ。

近未来、細菌感染によりゾンビ化した人々がハングリーズと呼ばれる世界。

そのハングリーズの血を引きながらも知能の高さを維持したままの子供達は軍施設に隔離され研究の対象となっていた。その中でも特に頭の良かったメラニーという少女ゾンビと、教師であるヘレンの信頼関係を中心としたストーリーである。

ゾンビの存在により荒廃した世界。それをゾンビの管理によってコントロールしようとする。しかしそれは決して簡単な事ではなかったのだ。

ゾンビを「意思と知性のある者」として描いている作品は珍しいように思う。

SF要素も強い特殊な設定を、冒頭の映像だけである程度理解する事が出来るその演出の巧みさにも注目してほしい。恐らくゾンビのイメージを裏切る新しいタイプの映画ではないだろうか。


少し歪な世界をテーマにしたこの2本。

見た後に少し新しい世界、思考の扉が開くのではないか。そんな気がする。

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