少女が美しく羽化する瞬間。

時にそれは嫉妬や欲望にまみれた視線に残酷に刺されてしまう。

今日は「パーフェクト･ブルー」×「ネオンデーモン」の2本立てだ。

「パーフェクト･ブルー」は1998年日本公開、2010年に亡くなった今敏監督の手によるアニメ映画だ。

チャムというアイドルグループを脱退し女優を目指す事になった未麻。

彼女がストーカーや関係者の殺人事件に翻弄されていく、そんなストーリーだ。

救いの無いラストシーンは今思い返しても絶望以外の言葉が浮かばない。

また、レイプシーンやヌードの撮影等、未麻のこなす仕事も決して気分の良いものではない。

元アイドルの葛藤と立て続けに起きる事件。

サイコサスペンスとして非常に印象的なアニメだ。

「ネオン･デーモン」は2017年に日本公開されたレフン監督、エル･ファニング主演による1本。

未成年のジェシーがモデルとしてのし上がって行くが、モデル仲間の嫉妬や宿泊しているモーテルでのトラブルに飲み込まれていく。

どこかホラーじみた世界を独特の色彩で撮っている。

美しいが最初はどこか垢抜けない印象だったジェシーが変化していく姿にも注目してほしい。

どちらも華やかな世界で上を目指そうとする美しい少女が周囲の欲望や嫉妬に翻弄される姿を夢うつつのような手法で表現している。

しかもどちらも単純なサクセスストーリーではなく、過酷な終焉が訪れるのだ。

是非その恐怖を体験して欲しい。

下手なホラーよりも精神的に辛い、かもしれない。

しかしその痛々しい世界から何故か目を離す事が出来ない。

折角のバレンタインに余りにえげつないセレクトで申し訳無い。

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