「28日後…」×「わたしを離さないで」

前回アレックス・ガーランド監督のエクスマキナを取り上げた。

この監督が過去に脚本として関わったとても好きな作品が2本ある。


今回は「28日後…」×「わたしを離さないで」だ。


「28日後…」は日本では2003年に公開されたシリアス系のゾンビ映画だ。

以前サントラがルイヴィトンのCMで使われた事もある。

ウイルスにより壊滅的な被害を受けたロンドン。

病院で目覚めた主人公ジムが他の生存者と合流し軍の駐屯地を目指すが、軍人にも問題があり…といったストーリーとなっている。

ジムが全く人のいないロンドンの街を歩くシーンが特に印象深い。

その後訪れる地獄の前の僅かなる静けさだ。

どこか暗い映像ではあるが全体的にスタイリッシュな印象の強い、そんなゾンビ映画である。


「わたしを離さないで」は昨年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロによる同名の小説を原作としており、この映画は2010年に公開された。

日本では舞台化・ドラマ化もされている。

特殊な目的のために存在する、世間から隔離された寄宿学校ヘールシャム。

キャシー、トミー、ルースの3人を軸に話が展開していく。

一見感情を抑えたようにも見える静謐な映像ながら設定はとても残酷な物だ。


ゾンビ映画とミステリアスなSFテイストの青春映画という一風変わった取り合わせではある。

しかしどちらもどこか美しく微かな緊張感があり、とても詩的な映画だと私は捉えている。

一見えげつないだけのゾンビ映画、SF的な設定ではあるが人間ドラマ風の静かな映画。

しかし「脚本家が同じ」という視点で見てみると、どこか世界観が似ているように感じるのだ。

どちらも不思議な魅力を持った、イギリスからの刺客である。

物凄く派手というわけではないが、しかし何故か妙に心に刺さってくる。

もしゾンビにさえ抵抗が無ければ是非2本セットで見て貰いたい。


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