「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」×「密告・者」
明けましておめでとうございます。
今年も名画座の夜が明ける。
突然ではあるけれど、年明け早々から追悼映画祭をやりたい。
2017年12月6日、ジョニー・アリディが亡くなった。
享年74才。
フランスのミュージシャンであり俳優でもあった。
追悼の気持ちを込めて彼が主演した映画を掛けたい。
とは言え私は彼の出演作を恥ずかしながらたった1本しか見ていない。
しかしその1本の記憶がとても鮮烈なのだ。やはりまた映画館のスクリーンで見てみたい。とても好きな映画。
その大切な映画と抱き合わせるなら何が良いだろうか。
少し考えてみる。
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」×「密告・者」がなんとなくしっくり来る気がした。今年最初の2本立てはこれで決まりだ。
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」はジョニー・トー監督による香港・フランス合作の1本で、日本では2010年に公開された。
ジョニー・アリディ演じる主人公コステロは、娘とその家族を殺された。復讐のために殺し屋を3人雇うのだが、コステロは頭に受けた銃弾の影響で少しずつ記憶が薄れていくのであった…
香港映画ならではのアクションシーンは勿論だが、記憶を徐々に失っていくコステロの姿にも胸を打たれる。
彼の復讐は果たして成功するのか。終盤の風船のシーンがとても印象に残っている。
どこか物悲しく、しかし美しいのだ。
この名作と共に上映したいのは、やはり香港発のアクション映画「密告・者」だ。
監督はダンテ・ラム、主演はニコラス・ツェーとニック・チョン。日本では2011年に公開された。
警察が犯罪組織に内偵を送り込む、単純に言えばそんな話だ。
全く救いの無いハードコアアクションとも言える。
しかし激しいカーチェイスの中でホワイトクリスマスが流れるシーンが非常に秀逸だ。
この重たい映画の中で、どこか美しさや優しさを感じてしまう、そんな貴重なシーンである。
どちらも非常に重たく辛いアクション映画でありながら、どこか感傷的というか不意に人の心を揺らすシーンがある。そんな共通点がある。
正月早々観客を銃撃戦の音の中に突き落とすのはどうなのだろうか。
名画座のスタッフとして一瞬悩むところではある。
しかし正月休みで緩んだ脳にパンチも必要なのではなかろうか。
そして映画のかっこよさに声を失う程熱中する事、それが故人への最大のリスペクトになるのではなかろうか。
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