「ロッキー・ホラー・ショー」×「トミー」

前回「一見全く接点の無さそうな映画を2本組んでみる」という記事を書いた。

今回は「見るからに接点の多いわかりやすいベタな組み合わせ」というテーマで2本立てを組んでみようと思う。


「ロッキーホラーショー」×「トミー」


どちらも1975年に公開されたイギリスのミュージカル映画。

もし名画座で「ミュージカル映画特集」をやるならこの2本はセットにした方が手っ取り早い。どちらもとんでもないカルト映画に分類されるから。


「ロッキー・ホラー・ショー」は原作がリチャード・オブライエン、監督はジム・シャーマン。

あるカップルが学生時代の恩師に結婚報告に行く途中、謎の館に迷いこんでしまう…というストーリーであるが、ホラーではない。タイトルにホラーと入っている癖に!

健全な若者が不可思議な人々の不可思議なパーティーに巻き込まれていくシンプルなお話を、癖になる程最高の音楽で魅せてくれる。

ドラマ「glee」でロッキーホラーショーが取り上げられた事もあるので、案外曲だけでも知っているという人は多いのではないだろうか。


昨今、シンゴジラやキンプリのヒット等で「発声上映」「応援上映」という形態の上映が増えつつある。

いわゆる上映中に声を出したり歌ったりペンライトを振り回したりコスプレをしたり、劇場や運営の提示するマナーの範囲内であればワイワイ騒ぎながら鑑賞しても良いというイベントだ。

このロッキーホラーショーは、その発声・応援上映文化の先駆けとなった映画とも言えよう。

元々アメリカでの公開当時に行われていたそうだが、現在日本でもリバイバル上映があるとファンクラブ主催の応援上映が企画される事がある。川崎のハロウィンイベントでは毎年恒例の企画となっている程だ。


「トミー」はロックバンドThe Whoのアルバムをコンセプトに製作された。監督はケン・ラッセル。

タイトル通り、トミーという青年が主人公である。

彼の少年時代から青年期を描いた壮大且つシュールなストーリーだが、手の込んだ映像で見始めるとついつい目が離せなくなる。

私は最初のガスマスクで心を鷲掴みにされた。


応援上映の先駆けであるロッキーホラーショー。

イギリスを代表するロックバンドのアルバムをベースに作られたトミー。

この2本の最大の共通点は「ライブ感」だ。


恐らくこの2本を続けて見れば、ロックフェスの帰りのような高楊感を味わえるに違いない。そしてその映像から溢れ出る強烈すぎる個性。そこに私はイギリスらしさ、パンク精神を感じる。

初めてトミーを見た時、イギリス人の皆さんには申し訳ないが率直に「イギリスはHENTAIだ」と思ってしまった。


ロッキーホラーショーもトミーも、余りに存在感がありすぎる。ドラッグなど必要ない。この2本を続けて見れば、ぶっ飛んだ気持ちになれる。そしておなかいっぱいになる。

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