続・色々な色 ②ビートルズを生んだ虫
※文末に今回の「まとめ」を掲載しています。
読みにくい文章に耐えられない方は、一番下まで画面をスクロールさせて下さい。
「色」に焦点を当てている今回のシリーズ。
前回は着色料の原料になる、コチニールカイガラムシを紹介しました。
着色料に使われるカイガラムシは、彼等だけではありません。
中国や東南アジア、インドなどに棲息するラックカイガラムシも、「ラック
ただし、ラック
コチニールの原料になるのは、乾燥させたカイガラムシです。
一方、ラック
奈良時代に建てられた
当時、彼等の分泌物は「
日本のソウルフードであるあんこは、多くの場合、ラック
ラック
虫嫌いな女性が
またラックカイガラムシの分泌物には、色素の他にワックスや
これらの成分は、多方面から人類を支えてきました。
天然由来のワックス成分は、チョコレートや果物のツヤ出しに利用されています。紙に光沢を与える目的や、錠剤のコーティングに使われることもあるようです。
ニスやラッカーには、彼等の分泌する樹脂が使われています。
そもそも「ラッカー」とは、「ラック」カイガラムシを語源にする言葉です。
ただ最近は、石油から作られた合成樹脂に役目を奪われつつあります。
更にラックカイガラムシの作り出す樹脂は、レコード盤の原料にも使われていました。
彼等の存在がなければ、音楽が世界中に普及することはなかったかも知れません。「ビートル」ズは今からでも、「カイガラムシ」ズに改名するべきだと思います。
有用なカイガラムシは、何も海外の専売特許ではありません。
日本各地に棲むイボタロウムシも、古くから人々の生活を支えてきました。
オスに限った話ですが、彼等の幼虫は
イボタ
現在のロウソクには、石油から作られたパラフィンが使われています。
とは言え、イボタ
また最近は、印刷用のインクにも使われているそうです。
ちなみに現在流通しているイボタ
国内にも棲息するイボタロウムシですが、商業的に育てている方はいないようです。イボタ
あまりにマニアックな虫に着目してしまった今回、お楽しみ頂けたでしょうか。
次回はがらりとテーマを変え、夏の風物詩に焦点を当ててみたいと思います。
「もう少しだけ続くんじゃよ」な「色シリーズ」、お付き合い頂ければ嬉しいです。
◇今回のまとめ◇
☆中国や東南アジアに棲息するラックカイガラムシは、「ラック
☆ラック
☆ラックカイガラムシは、
☆ラック
☆ラックカイガラムシの分泌物は、ニスやラッカーにも使われている。そもそも「ラッカー」は、「ラック」カイガラムシを語源にする言葉。
☆ラックカイガラムシの分泌物は、レコード盤の原料にも使われていた。
☆イボタロウムシの分泌物は、ロウソクの原料として使われていた。
参考資料
図解入門 よくわかる最新食品添加物の基本と仕組み
松浦寿喜著 (株)秀和システム刊
カイガラムシが熱帯雨林を救う
渡辺弘之著 東海大学出版会刊
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