語源百景 植物篇 ②「ちくわ」は「かまぼこ」?
※文末に今回の「まとめ」を掲載しています。
読みにくい文章に耐えられない方は、一番下まで画面をスクロールさせて下さい。
植物から生まれた言葉に焦点を当てている今回のシリーズ。
前回は「
実を言うと、
およそひらがなで書かれる「かまぼこ」ですが、漢字では「
前回紹介したように、
昔の人々はまっすぐ伸びる茎や穂を、武器の
早い話、「
――とここまではいいのですが、
こちらも前回紹介しましたが、
おいしそうなことは間違いありませんが、かまぼこには全く似ていません。
一体なぜ、昔の人はかまぼこと
これにはかば焼きがそうだったように、かまぼこの
かまぼこの歴史は古く、いつ頃誕生したかは判っていません。
ただ平安時代に書かれた古文書には、既に「
かまぼこが登場するのは、祝宴の
そこには「
昔のかまぼこには、幾つか現代とは違う点があります。
現在、かまぼこの材料には、スケソウダラやハモと言った海水魚が使われています。しかし室町時代の文献によると、かつては淡水魚のナマズを使うのが主流だったようです。
更に今と昔とでは、製法も異なります。
現在のかまぼこは、練った魚を「蒸した」ものです。
一方、平安時代のかまぼこは、練った魚を「焼いた」食べ物でした。
何より違うのが、「形」です。
我々の知るかまぼこは半円形で、板に盛り付けられています。しかし古文書に描かれたそれは、竹の棒に巻き付けられています。真ん中に穴が空いた姿は、むしろ「ちくわ」です。
棒に練り物が刺さった様子は、
昔の人々が「
今からは考えられませんが、長い間、かまぼこは高級品でした。
主に
現在の姿に変わった時期には諸説あり、断言することは出来ません。
一般的には安土桃山時代後期から、江戸時代初期と考えられているようです。
実際、
板が付いて以降、「かまぼこ」と言う名前は、現在のそれを指すようになります。
一方、竹に巻き付けたかまぼこは、「
早い話、現在の「ちくわ」はかつて「かまぼこ」と呼ばれていました。
「かまぼこに板が付いたのは最近」と証言する書物には、既に「
「板に付いている」と言っても、当時のかまぼこはすり身を「焼いた」ものでした。
現在のように「蒸した」かまぼこが登場したのは、江戸時代末期のことだと見られています。事実、江戸時代末期の風俗を記した書物には、「江戸に焼いたかまぼこはない。全部蒸してある」と言う記述があります。
「蒸す」調理法は「焼く」より生産効率がよく、かまぼこは大量に作られるようになりました。同時にかまぼこを売る店が出現し、庶民の口にも入るようになります。
◇今回のまとめ◇
☆かまぼこの語源は「
☆平安時代には既に、「
☆11月15日はかまぼこの日。
☆かまぼこは長い間、高級品だった。
☆かまぼこに板が付いたのは、安土桃山時代後期。ただし、江戸時代初期と言う説もある。
☆板の付いたかまぼこが出現して以降、古いかまぼこは「
☆かまぼこが大量生産されるようになったのは、江戸時代末期。同時にかまぼこを売る店が出現し、一般庶民にも手の届く食べ物になった。
参考資料
日本語源辞典
村石利夫著 (株)日本文芸社刊
週刊 江戸 №70
(株)デアゴスティーニ・ジャパン刊
新訂 かまぼこの科学
岡田稔著 (株)成山堂書店刊
かまぼこ その科学と技術
山澤正勝 関伸夫 福田裕編集 (株)恒星社厚生閣刊
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