第7話 掴み始める。【彼】

関西弁のおっちゃんはすごかった。彼の手ほどきを受けてから、1週間もたたないうちに、俺は収支をプラスにしていけるようになっていた。


この間なんて、今までにないすごいあたりを出して台から離れることができなくなった。


「おほー!いいあたりやんか!よかったなぁーにいちゃん!」


「全部あんちゃんのおかげじゃないですか!」


おっちゃんは、自分をあんちゃんと呼ぶようにと言うのだ。おっちゃんはちょっと照れたように鼻の頭を掻いた。


「なぁに。俺に感謝するより親に感謝や!せやな、あと神さんにも感謝しとき!」


「親?」


「当たり前やろー!このあたりを引き当てる為のお金はにいちゃん、親からもらっとるんやろ?」


そうか。そんなこと考えたこともなかった。


「それにな、どんなに研究して、どんなにあたりが出そうな台でも、結局あたりを出すんわ運しだいや!台を決めたらあとは神さん次第よ!せやかて、ちゃーんと神さんにも感謝しとき!」


ボンっとおっちゃんは肩を叩いた。なんだかすごくいい話を聞いた気がする。


「ありがとうございます!!この後、神社に行ってみます!!」


「・・・にぃちゃんはその素直さが一番の武器やなぁ。」


「え?なんですか!?」


「何もありゃせん!ほれ!ちゃんとハンドル握っとき!!」


「はい!」


銀色の玉がみるみる溢れていく。キラキラと。

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