第87話 ニューシネマパラダイス解釈 (1988年 イタリア)

*ニューシネマパラダイス解釈 (1988年 イタリア)

ニューシネマパラダイスは、監督ジュゼッペ・トルナトーレのもと、エンニオ・モリコーネの音楽で製作された。

そのポイントは、映像の本質を突いた、、時間域や場所、そして、世代を越えた人のつながりの映像と言えるだろう。


この作品には、「劇場版」「オリジナル版」「完全オリジナル版」の3種がある。

完全版では、トトと恋人のエレナが再開し、2人の恋がすれ違ってしまった謎が明かされる。そして、また、刹那の恋に陥る。


アルフレードはトトが成長するに従って、トトの父親(戦死)であるかのような親心を示し始めるシーンがある。アルフレッドはトトにさりげなく助言するが、それは、格言のような抽象的な言葉である。

そして、後半になると、、アルフレードがトトを成功へと導いたことが、象徴される。


*時間域や場所、そして、世代を越えた人のつながり。

小学生のトトの母親は、アルフレードに言う。

「いい歳して子供と遊ぶなんて、あんたちょっと恥ずかしくないの

 この子が話すのは、映画とあんたのことだけ」

これは、伏線とも言える。

アルフレードとの出会いがあったからこそ、トトは成功した。

それは、30年と言う、時間域を超えて、この映画は、普遍的なものを伝えている。

アルフレードは言う。「風車があったのを覚えてるか? 風車はもうないが、風はまだある」


人の心を動かす、映画(映像)は、当時のそれと、今も変わらないだろう。





*シノプシス

シチリアの小さな村で青春時代を過ごし、ローマで暮らす映画監督のサルヴァトーレは、映画館「パラダイス座」の元映写技師アルフレードの訃報を聞きまサルヴァトーレの思い出を回想する。


1)映画館「パラダイス座」の映写技師として働くアルフレード。頑固な性格ゆえに、少年のトトを当初は受け入れられなかったが、次第に友情で結ばれる。

2)第二次大戦時のイタリアは検閲により、劇中でキスシーンなどがあると神父がベルを鳴らし、そのシーンのフィルムをカットした。トトはカットしたフィルムを欲しがるが、配給会社に返却する際に元通りにする必要があると拒否される。

3)ある日、パラダイス座でフィルムが焼けて火事が発生。トトの救出によりアルフレードは一命を取り留めるが視力を失う。代わりにトトが映写技師として働くようになる。トトは、映画撮影に興味を持つと同時に初恋を経験する。アルフレードは、トトに「外の世界を見て来い」というアドバイスして、ローマに出た。

4)それから30年が経過し、映画監督サルヴァトーレ(トト)は、アルフレードの葬儀に参列するため故郷に戻る。かつてのパラダイス座も閉館し駐車場になる聞き、寂しさを募らせてた。

5)そして、サルヴァトーレはアルフレードの形見を渡される。

それは一本のフィルムで、かつて検閲でカットされたキスシーンをつなげたものだった。試写室でサルヴァトーレは、涙をこぼす。

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