第57話 解釈と評価「映画の理論」ベラ・バラージュ
ベラ・バラージュ(Béla Balázs)、(1884-1949)ハンガリーの映画理論家、哲学・美学者、作家。
リュミエール兄弟が映画の発明(最初のハリウッドスタイル)したのは1895年頃なので、それよりも10年ほど早くバラージュは誕生したことになる。
創世記の映画の「理論」について書かれた本は、少ない。それは、映画の歴史は、120年ほどしかないということだ。この書籍は、初期の映画における、体系だった理論構成の代表的な映画の芸術学的・美学的な理論書と言えるだろう。
ベラ・バラージュの最初の著作集「視覚的人間」(1924)は、「映像言語」の理論構成に影響を与えた。モンタージュ理論を実践した、セルゲイ・エイゼンシュテインやプドフキンもまた、この著作に影響を受けたとも言われる。
そして、この「映画の理論」では、一般化した映画芸術における表現形式の基本と美学的可能性を論じ、鑑賞力(教養)をつけることの重要性も論じている。
解釈と評価のポイント:
人々は、一般化された映画を観ることで、常に精神的な影響を受ける、映画は何か、それは、どう観るべきか、その教育は必須ということだろう、それは、まず、*危険と隣り合わせだからだ。
映画芸術は、大規模な産業であり、一般人の経済効果に支えられ形成された芸術である。それは、逆説的には、一般人の基礎教養こそが、映画製作者側の内容レベルに過大な影響を与えるということだ。
それは、編集と構成にしても、
例えば、ニュース映像は、実際の事実や事象から構成されているだろうか(?)
客観的なニュースは、ヒトが形成できるものなのか(?)
また、その*構成されたカットから、なにを連想するか(?)
人の思考は、映像の現象世界から、意味を解読し、本来、製作者側が言わんとするところの目的を解読しようとする。
その、例えば、娯楽映画としても、プロパガンダは何か(?)チャプリンのそれもそうだろう。
ベラ・バラージュ「映画の理論」は、体系的にまとめられ、それは、未だ120年程度の映画の歴史には、今尚も、重心のある書籍である。
(註)
*危険と隣り合わせだ:例えば、ナチスのプロパガンダ、ソビエト連邦の構成におけるプロパガンダ映画・・・
*構成されたカットから、なにを連想するか:ニュース映像のモンタージュ構成(報道側の主観性が問われる)
参考文献
『視覚的人間 映画のドラマツルギー』,ベラ・バラージュ(佐々木基一、高村宏訳),岩波文庫,1986
『映画の精神』,ベラ・バラージュ(佐々木基一、高村宏訳),創樹社,1984
『映画の理論』新装改訂版,ベラ・バラージュ(佐々木基一訳),學藝書林,1992
『ベーラ・バラージュ 人と芸術家』,ジョゼフ・ジュッファ(小林清衛、竹中昌宏、高村宏、渡辺福実訳),創樹社,2000
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます