第158話 永岡天満宮ダンジョン1日目終了



 精算を終えてからもう一度ダンジョンに入ろうとしたら、変な顔をされた。

 塔型ダンジョンは中で野営する探索者が少ないからだ。

 邪魔くさいが階段を降りれば、外に出られるからな。


 ここ永岡天満宮は元々観光地でもあったし、周辺に宿はたくさんある。探せば探索者向けのユースホテルもあるだろうから、飛び込みでも泊まれるだろう。


 タマとポチを自由にさせてやりたいから、マイボス部屋に泊まるけどな。

 でもどのあたりから転移するのがいいかな。人が少なそうな十一階層以上がいいか。


 ついでに十一階層以上も探索するつもりだ。ある程度順に登っていって、最後に十五階層のゲートキーパーも倒したい。

 もう少し良さげなスクロールとかがドロップしないかと期待している。


 今が十八時だからだいたい二十一時くらいに終える予定だ。


 しかし、レベルアップして疲れにくくなったとはいえ、ひたすら階段、廊下、階段、廊下と繰り返すのは気持ち的に萎えるな。

 


 この時間でも九階層までなら他の探索者もいるようだけど、十一階層は少なかった。

 六階層に出現したモンスターは生狛ダンジョンにも出現したアンガールースターと、エアロウイングという鸚鵡系のやつ、確か緑色のサマースカーフの合成素材に使われたやつだ。

 どちらも脅威度は6。アンガールースターは戦ったことがあるが、エアロウイングは初だ。


 しかしここは鳥モンスターばかりだな。十六階層以降は出現モンスターの傾向が違うということだったけど、有料情報だったので確認していない。


 十一階層の扉は木製の引き戸に変わった。開けるとそこは今までのような個人宅の部屋というよりは、旅館やお寺なんかの大広間って言えばいいのだろうか。一部屋がかなり広くテニスコートほどもありそうだった。


 広くなった分、一部屋にいるモンスターの数が増えた。

 九階層までは多くて三匹だったのだが、最低五匹のモンスターが出た。

 各階層に二種類のモンスターが出たが、どちらか一種だったのが十一階層では二種混合でのお出ましだった。


 まあ、タマとポチが参戦したので五匹いてもタマ2:ポチ2:俺1なんだけど。


 三部屋めのエアロウイングを倒した後に、片眼鏡のようなものがドロップした。


=【レア・アイテム】《鑑定鏡》対象のレアリティ、種類、名称を読み取ることができる。=


 鑑定メガネの片眼鏡バージョンだった。鑑定メガネはこの片眼鏡タイプの他、普通のメガネタイプと虫眼鏡タイプがある。


 虫眼鏡タイプがⅠで種類と名称、メガネタイプがⅡでレアリティまで、片眼鏡タイプがⅢで非接触で鑑定できる。レンズが大きい方が性能が劣るのは、謎だな。

 それ以上はエピックの《鑑定鏡》でないと見ることができない。

 これを持ってるってことで、今後簡易鑑定を省けるな。最後に鑑定鏡を鑑定に出すことになるけど。


 十二階層では脅威度6のスピードホーク、十三階層では脅威度7のブラックイーグルが出た。

 そして宝箱発見。


 中身はスクロールだった。


=【レア・スクロール】《石壁ストーンウォール》石の壁を作り出す=

=【コモン・スクロール】《炎弾ファイヤーバレット》ほのうの弾丸を打ち出す=


 なんと魔法スクロールが二つも入っていた。ライト、ウォーターに続いて習得する。

 これで魔法の単呪文が四つ使えるようになった。


「そういや、あれまだ残してたな」


 生狛ダンジョンで手に入れた《魔法強化》だ。

 スキルの詳細を調べたら、あれって魔法が強化される分消費魔力が増えるため発動まで時間がかかり、疲労感が強くなるって書かれてあった。


 多分体内魔力が少ないと、無理やり吸収して発動するからだと思う。今の俺なら体内蓄積魔力量が多いから、問題ないはず。

 それに《石壁ストーンウォール》以外はコモンスキルだし、そんなに消費魔力は多くない。


 倉庫の肥やしになっていた《魔法強化》も開封して三つのスキルを取得した。


 十一階層、十二階層と廊下に出るまでの部屋数は五部屋から六部屋だったのが、十三階層は八部屋移動したが廊下に出ず、時計を見ると十一時を回っていた。


「階層転移で戻ることもできるんだけど、なんとなく自力で廊下に到達したいんだよな」


 タマとポチはそこそこ戦闘できるからか、特に急かすことはなかった。


「うーん、ここをマーキングしてマイボス部屋に転移するか。そうしたら明日はここから再開できるし」

「もう戻りますかにゃ」


 タマがドロップした魔石を咥えて、俺の元にやってきた。

 ポチもブラックイーグルの嘴を咥えてくる。


 サーチで確認したが、周囲に探索者はいないっぽい。流石に夜通し探索を続けるタイプじゃあないかな。

 明日戻ってきたときにこの部屋にいるってことはないとは言わないが、朝早い時間に戻れば大丈夫だろう。


「じゃあ今日の探索はこの辺で終わろうか」

「はいですにゃ」

「承知ですワン」


 二匹が影に沈んだのを見届け、扉の前にマーキングをしてから転移した。

 扉の前なら転移直後に扉を開けて誤魔化せるだろう。


「さて、ゆっくりお風呂に入るか」


 ダンジョン探索中にゆっくりお風呂に入れるっていいな。

 やっぱりお風呂作って正解だったわ。


 余裕ができたら別のタイプのお風呂も作ってみるかな。


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ダンジョン温泉パーク化構想……

リソース食いすぎるのでタマに反対されそう。

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