第155話 永岡天満宮ダンジョン⑤


 レアモンスターのドロップにコモンはおかしいので、ボスドロップを変更しました。

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 狼刀を使ったラッシュは三回だった。突きとして放てば五回繰り出せそうだ。

 どちらにしろ驚異度5の狂雉鳩マッドタートルダブにはオーバーキルだったが。


 ドロップがコロンと転がった。

 ビー玉よりは大きいがピンポン球よりは小さい乳白色の玉。


「これ……」


 拾い上げた球を鑑定する。


【レア・アイテム】《スキル消去オーブ》五個まで指定したスキルを消去する=


「スキル消去のオーブ、迷宮道具のドロップって初めてかも」


 コモンの《スキル消去オーブ》と違って消去するスキルが複数指定できるタイプだ。

 迷宮道具、いわゆるマジックアイテム的な物だが、今までドロップはなかった。

 これは売っても一つ千円程度。まあコモンの魔石よりは高いけど、迷宮道具の中では最低額だ。


「道具って言っても見た目ただの玉だし」

「呼びましたかにゃ」


 待機していたタマが寄ってきた。


「いや呼んでないよ」


 今更ながら、命名に失敗したかも。


 俺は自分のスキルを消す必要はないけど、今後のことを考えて温存しておくことにした。

 

 そしてもう一つのドロップは……


「三つ?」


 昔懐かしい形の鍵が三本、スケルトンキーというやつ。


「我らの分ですワン」


 タマとポチと俺の三人分のゲートキーになるのか。


「パーティーとしてタマたちもカウントされるんだな」

「戦闘に参加しなくとも共に部屋に入ったもの全員に鍵は与えられますにゃ」


 俺は三つの鍵を拾おうと手を伸ばすが、つかめたのは一つだけ。その一つも掴んだ途端光の粒子に変わって消えた。


 タマとポチもそれぞれ鍵に前足を触れる。


「では先に進みましょうワン」


 三人とも鍵を取り込むと、入ってきた扉の対面にある扉が開いていく。


「帰還オーブはやっぱりないか」


 扉に向かって歩きながらあたりを見回すが、ボス部屋にある帰還オーブがここには現れない。

 塔型ダンジョンは階層移動が容易なので、帰還オーブが現れないことはよくある。

 ここ永岡天満宮ダンジョンも廊下と階段にはモンスターが出ないし、ゲートキーさえ手に入れられれば、上階に上がるのも一階まで降りるのもさほど時間はかからないからな。


「じゃあ次の鍵を手に入れるため、十階層へ先にいくか」

「了解ですにゃ」

「承知しましたワン」


 俺の影に二匹がしずむ。扉を通過すると触れてないのにゆっくり扉が閉まっていく。真っ直ぐな短い廊下を進むとすぐに階段があり、トントンと駆け上がった。



 六階層も幅広の廊下が続いているところは同じだが、両サイドの扉が扉だった。

 いや変な日本語だな。

 今までが襖や障子だったのが、木製の扉に変わっていた。

 昭和の家だって洋室くらいあるだろう。

 うちの実家だって両親の部屋とひなの部屋は洋室だ。俺の部屋は和室だけどな。縁側の障子を外して部屋として使っているから、縁側の二畳分広く使える。冬が寒いのが玉に瑕だが。


どんな感じなのか興味はあるが、十階層まで先にいくことにしたので、そのまま奥の階段へ進んだ。


 登っていくと、ところどころで休憩中の探索者パーティーがいた。

 六階層からはレアモンスターが出るので、多くの探索者はこの辺りで探索しているのだろう。

 廊下に戻ってくるまでに通過する部屋数は、フロアの広さが大きくなっている分、多そうだ。


 廊下を進んで階段を登るだけなので、対して時間もかからず十階層に到着した。


 ここも五階層同様蔵のような扉があり、誰も並んでいなかったが扉は閉まっていた。


「誰か挑戦中なのか」


 十分ほど待っていると、ゆっくりと扉が開いていく。


「十階層の中ボスは何かな」


 中ボス部屋の中に入り、扉が閉まる間にバックパックを倉庫にしまう。

 タマとポチも現れて俺の両サイドにおすわりをして待つ。


  5階層より多少広いが、床は畳っぽくこっちは柔道場か空手道場のような感じかな。


 床の間のようなものがあり、掛け軸がかかっているが日本語じゃあないのか読めない。


 そして中央にボスが現れた。



【エピック・アンガーオーストリッチ】【魔石30%・素材40%・アイテム30%/キー】


「あ、エピック」


 十階層の中ボスはエピックモンスター。アンガールースターの上位種か? いやあっちは雄鶏でこっちはダチョウだ。


「お手伝いしますかにゃ」

「いや、俺にやらせて」


 エピックモンスターとはホワイトタイガータマと生狛ダンジョンのアンゴーラブルとブラックウルフポチの三回しか戦闘していない。


 最後のブラックウルフポチとの戦闘ではミドルヒールポーションを使って、刺身包丁を折るというていたらくだった。

 あれから白濱や境にも行ってレベルアップしているのだ。


「ヴァギャァァ」


 ダチョウが翼を広げて威嚇する。だがタマの咆哮のような追加効果はなさそうだ。ダチョウ自体背が高く二メートルを超えるが、背的はさほど大きく無いものの。首や足が普通のダチョウの倍以上の太さがある。

 狼刀を正眼に構え、ダチョウを睨みすえた。


「ヴァギャッ!」


ダチョウは畳の床を踏みしめ、一気に詰め寄ってきた。



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 誤字指摘してくださる方々、感謝でございます。

 見直ししてるつもりなんですが、漏れ漏れでございます。予測変換があまり嬉しくないです。ひらがな入力で〝り〟一文字入力すると勝手に漢字の〝李〟に変わるのとかやめてほしいとかおもってたんですが、ライブ変換OFFにすればいいってこと、今頃知りました。

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