第124話 知良浜ダンジョン1日目④
このトカゲモンスターだが、俺の装備である五菱ダンジョンマテリアルのエントリーモデルリザードシリーズの素材である。
ここ知良浜ダンジョン以外でもリザードが出現するダンジョンはあるが、知良浜でリザードが出るとわかってからは、この十一階層から十四階層を中心に狩っているそうだ。
【レア・リザード】【魔石50%・皮10%・爪10%・牙10%・アイテム10%・なし10%】
リザードの脅威度は5とされており、裏山ダンジョンのハウンドウルフや生狛ダンジョンのミラージュリカオンやカシミールリンディアと同じだ。
そういえばここの五階層の中ボスはミラージュリカオンだったな。
脅威度5以降はダンジョン武器以外では歯が立たなくなってくるので、新人とされるFやGランク探索者がソロで相手にするモンスターではないのだ。
この十一から十四階層には脅威度5と6のモンスターが出る。
脅威度5がリザードとマッチョロックゴーレム、ミラージュリカオンだ。脅威度6がロックキャタピラーという見た目が岩っぽい芋虫のモンスターだが、これがドロップする糸束がレア素材だけあって、ジャンピングスパイダーの糸束より強靭かつ伸縮性もあり、レア素材の縫製などに使われるそうだ。
他はとロバーホークという大型の鳥のモンスターだな。
山崎重工や大坂マテリアルの探索者も同じくこの階層のドロップ目当てのため、モンスターが取り合いっぽくなっている。
そんな場所で一般探索者が活動できる場所は少ない。なので一般探索者は九階層までで活動する低ランク層か、さらに下の十六階層以降を目指す中ランクから高ランク層なのだ。
だが高ランク層の利用は少ないダンジョンなので、俺が目指すのは十六階層以降になる。
そこまで行けばタマやポチも外に出してやれると思う。
十一階層ともなれば広さは一階層の十倍ほどになっている。階段から反対側を目指せば直線で二十キロほどあり、しかも山あり谷ありで平坦なところは少ない岩山フロアだけに、下り階段までたどりつくには時間がかかった。
他の探索者を避けつつ下を目指し、時々はモンスターとエンカウントするので、サクッと倒して進んでいく。
企業探索者が狩まくっているのでたいして出会わないが、レアモンスターで脅威度は5〜6なので、エピック武器のエレホーンソードの前に防御力は紙……とは言わない。岩系は外側は硬いので関節とか狙う必要がある。
マチェットはようやくコモン武器扱いになったけど、コモン武器ではロックキャタピラーのような外殻の硬いレアモンスターには全く歯が立たないな。ミラージュリカオンやリザードにようやく傷をつけられる程度で、倒すのは難しい。
ちなみにダブルファングはレジェンドウエポンなので、スパスパキレるが職業スキルの《戦士》の研鑽を積みたい俺には過剰な攻撃力なのでこの辺りの階層では使用を控えることにした。
「そっちに行ったぞ」
「はあっ」
「油断するな!」
十四階層へ降りる階段の手前で、企業探索者がリザード二匹と戦闘をしていた。防具装備が揃っていないが、大坂マテリアルの社章が背中に入っている。
企業探索者って広告塔でもあるから、装備に社名とか社章が書かれてるんだよな。
三人組だが内一人が若く、他の二人に注意されながらの戦闘だ。
もしかして新人とかかな。槍を持つ手が若干力んでるようだ。あ、突っ込んだ。
真横から槍を持って突っ込んでいったが、腰の引けた突きはリザードが尾を振りまわし、槍を弾きとばした。
迷高専卒業生なら脅威度5のリザード相手に腰が引けることはないだろうから、一般採用なのかな。
岩陰から覗くようにして戦闘が終わるのを待っていたが、戦闘音のせいで後方からロバーホークが接近してきた。
三人の探索者との間に躍り出て、ロバーホークをマチェットで叩き落とす。斬るというより叩きつける感じで、ロバーホークを打ち据え地面に叩きつけられた衝撃で首が変な方向に折れ、絶命する。
三人のうち年配の二人が一瞬こちらを見るも、すぐにリザードに攻撃を仕掛けて倒す。
やっぱりあの一人だけ若い探索者に経験を積ませるため、控えてたみたいだ。
俺がでしゃばらなくとも、ロバーホークを問題なく倒しただろうけど俺も戦闘回数少ないからいただきました。他の場所から飛んできたモンスターだから、横取りにはならない。
む、ドロップは魔石か。向こうは皮をドロップしたようだ。
俺はペコリと頭を下げて横を通り抜ける。
「芝、戦闘に集中しすぎてもダメだぞ」
「あの探索者が倒したが、ロバーホークの接近に気が付いていなかっただろう」
「す、すいません」
後方からそんなやりとりが聞こえてきた。
俺も〈サーチ〉なしでも気配が読めるようにしたほうがいいんだろうな。
流石にその手の訓練は浅階層でないとできないしな。
次の実践授業は〈サーチ〉なしでやってみるか。あ、ポチとタマにも言い聞かせないと、接近を知らせてくるからな。
┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼
親戚に不幸があって、一週間ほどPCさわれませんでした。
コロナのため葬儀も色々気を遣って甥姪孫の出席なしというのも寂しい感じがしますね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます