第118話 探索を終え
今回も時間がずれました。
┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼
そして十五階層の中ボス部屋に戻ると、先程の四人が転移オーブを使って帰っていくところだった。
彼ら四人の姿が歪んだように見えたが、次の瞬間姿がかき消えた。
転移オーブを使った時の消え方と、《階層転移》を使った時の消え方って違うのかな。
タマにでも聞いてみるか。俺たちが転移するところ見送ってくれてるし。
「ポチ、俺たちも戻ろう。売却用のドロップ品の整理してからじゃないとな」
「承知しましたワン」
昨日の夜にやっときゃよかったな。
周辺には誰もいないので《階層転移》でマイボス部屋へ転移した。
売却用の素材をバックパックと土嚢袋に詰めるのに一時間ほど使い、一階層の出口へと転移すると、何やら協会の職員が慌ただしそうに動き回っていた。
ダンジョンから出ると、レベルアップで力や体力が上昇していた分が落ちるので、持てていた荷物が持てなくなることがある。
境ダンジョンのような重さのある素材が出るダンジョンは、ゲートを出てすぐのところに台車やカートが置かれている。
俺はしばらくなら保有魔素で体力維持できるけど、周りに合わせてカートに荷物を乗せて押していった。
期間報告と売却のため空いているカウンターを探すと、買取カウンターの方はいつもと変わりなさそうで、時間も午後三時と中途半端だからか空いていた。
「何かあったんですか?」
免許証を提示しつつ聞いてみた。
「ええ、ダンジョンの成長が確認されたんですよ。成長すると出現モンスターが変わったり、地図が変わったりするので色々やることがありまして」
忙しくなるのだが、この職員は嬉しそうだ。まあ成長を望んでいるダンジョンだから、成長したら嬉しいのは当たり前だな。
「そのせいでしばらく低ランク探索者の入ダンが制限されますが、鹿納さんの申請は今日までですね。明日以降は入れない可能性がありますが」
「あ、俺明日は若山の知良浜ダンジョンへ行く予定なんで」
結構な重さの買取素材をカウンターの上に置く。
今回は十階層までの素材を売却する。十階層以降の採掘やドロップは粟嶋先輩に渡すんで入れてない。
「そちらは武器ですか?」
俺が背中に背負っているスチールアームハンマーに目を止めた。グーのところには土嚢袋を被せている、流石に笑われたくはないのでなあ。
「鑑定依頼されますか」
「え、ああお願いします。それとハンマー用の武器ケースは扱ってますか」
「ありますよ。ここは打撃系の武器ドロップがよくありますから。というかゴーレムからは九割型打撃系武器しかドロップしないんですけどね」
ハンマーは〝刃物〟ではないので〝刃物用のウエポンケース〟ほど鍵が厳重ではない。探索者の免許証だけで開く、市販のウエポンケースと同じくらいのセキュリティーレベルだ。その分安いけど。
散々悩んだが持っているところを見られたので、公にすることにしたのだが。
電車に乗る時に邪魔だよなあ。
鉱石は採掘したものとドロップした物も合わせて売りに出す。
合計すると20キロ近くありそうだ。まあ小学生の子供をおんぶすると思えば背負えない重さではない。
これだけあって鉱石の買取価格が1万2千円が安いのか高いのかはよくわからない。
高額そうなクロムとクロムモリブデンはお土産なので出してない。
ドロップ品の欠片や鉱石にインゴットはダンジョン品なので、地上で採掘されるそれぞれの同名の金属とは価格が違う。
ダンジョン黎明期は世間一般の鉱石と同等の価格で取引されていたが、ダンジョン鉱石などはレアリティによって付加効果があることがわかり、特に鉄なんかが価格が十倍以上に跳ね上がった。
境ダンジョンにはオーソドックスな鉄金銀ゴーレムは出ないから欠片やインゴットはないが、鉱石はモンスター関係なしにランダムでドロップするから、鉄鉱石もドロップする。
苦労して持って帰ってキロ50円くらいの買取価格だと、思わず投げつけたくなったろう。
まあ俺だと《アイテム鑑定》で判別できるけど、昔の目利きできない探索者はあるだけ持って帰ってきたんだろうなあ。
今ならもっと高値で買い取ってもらえるのにな。
特に効果つきのインゴット。
俺が手に入れた赤鋼のレガースや緑鋼のバンプレイスの素材でもある、赤鋼のインゴットなどはスチールゴーレムからドロップする。
今回はスチールゴーレムからインゴットはドロップしていないが、レアである赤鋼は火耐性が付加効果としてある。20%でも馬鹿にできないのだ。
だがせっかくの効果もスキルの持たないものが加工すれば、その効果は半減か、最悪消失する。
ここだと売らない場合は一階層の鍛治長屋に持ち込んで装備を作ってもらったりするのだ。
因みに《鍛治師》の職業スキルは〈鉱石鑑定〉というスキルを得ることができる。
鉱石限定かと思いきやインゴットもちゃんと鑑定できるのだ。
そういえば聞かなかったけど粟嶋先輩は……持ってそうだな。
┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼
今回はダンジョンマスタースキルかと思われたかもしれませんが、ダンジョンマスタースキルは全てを明かしていないので、もうしばらくお待ちください。
境ダンジョンの出現モンスターを決めるために、鉱石や金属の硬さとか価格とか調べたんですが、モースとかビッカーズとかブリネルとかもう頭がついていきません。
一部変更するかもしれませんが、金属の硬さとかはモンスターのレアリティーとは別なので、必ずしも硬い=強いではありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます