第112話 目立たぬように

 

 九階層で新たに出現したモンスターはブラス真鍮ゴーレム。

 ここ真鍮好きなのかな。

 見た感じはストーンゴーレムと大差ないが、素材が真鍮なのだ。

 倒し方も同じ方法でいけた。これエピック武器のエレホーンソードだからできることだよな。


 ドロップ率はこんな感じ。


=【レア・ブラスゴーレム】【魔石40%・鉱石15%・欠片15%・インゴット15%・アイテム10%・なし5%】=


 固有ドロップのところがインゴットです。


 五階層の中ボスもこのブラスゴーレムなんだが、同じブラスゴーレムでもドロップは違う。大体ボスは上アイテムというランク上のアイテムがドロップすることがある。このエレホーンソードも戦士のスクロールも上アイテムドロップだ。

 そう考えたら俺のドロップ運はいい方かもしれない。

 この境ダンジョンがしょぼい……いや鉱石や特殊ドロップ狙いの探索者が多いダンジョンなんだから、俺がここでアイテムドロップを欲しがるのがいけないのかも。

 俺の物欲センサー! オフ!!


 結局九階層に来るまでに十八時になってしまった。

 午後の戦果はというと……


 ロックパペット5体で魔石2個、鉱石1、石塊1、ハズレ1。

 クレイゴーレム5体で魔石3個、欠片1、石炭1。

 ロックゴーレム四体で魔石1個、コークス1個、アイテム1はミドルヒールポーション。すぐに渡した分の補充ができた。

 ブラスゴーレム2体で魔石1個、鉱石1個。


 鉱石は落としたモンスターの種族とは関係ない。何の鉱石かはランダムっぽい。俺が手に入れた鉱石は一つは鉄鉱石でもう一つは白銅鉱石。銅75%とニッケル25%の合金である。


 八階層でも採掘ポイントを一つ見つけたので少しだけ掘った。

 出てきたのは赤銅鉱石と鉄鉱石。


 銅は黄、赤、白と三色揃った。今の手持ちで全ての硬貨の材料が揃ったよ。

 青だけまだ手に入れてない。まあ青銅で武器は作らないからあっても売るだけだし。


 階段前では他の探索者が休息を取っている。

 俺が通り過ぎた時はすでに夜営の準備をしており、あっちこっちで寝床のスペースを確保しており、通り道が狭かった。

 八、九階の階段前はどちらもすでに場所がない。連休だしな。


 俺は先に進んで九、十階の階段を目指すふりをして通り過ぎる。


 昼と同じミスはしないように、階段からの転移はしない。

 ダンジョンマスターランクアップで新たに使えるようになった《階層転移》のマーキング機能を使う。

 すっかり忘れていた。


 九階層のあまり人のいなさそうな場所を目指して進んでいく。

 ちょうど見通しの悪い曲がり角を選んでマーキングをする。

 こうしておけば、誰かに出会ったとしても角を曲がってきたふりができるからな。


 さてマイボス部屋でゆっくりしよう。


「おかえりなさいにゃ」

「ただいま、タマ。改装具合はどう?」


 転移してくると出迎えてくれたタマに進捗状況を尋ねた。


「現在十五階層に作り替えているところですにゃ。アンゴーラカウは十四階層に設置する予定ですにゃ」


 階層を増やしたことで時間がかかっており、終了まであと三八時間ほどかかるようだ。


「うむ、マスターのことは吾輩に任せるワン」


 また二頭が睨み合ってるよ。さて、夕ご飯は何にするかな。

 転移ポータルを使ってアパートに帰ることもできるが、学校関係者に会うとまずい気もするのでやめておこう。





 食後に少し探索を進めたかったんだが、この時間階段前は探索者が多いので諦めて早めに寝ることにした。

 そして翌朝は早朝から探索を開始する。

 早朝といってもこの境ダンジョンは炭鉱型なので昼夜ないんだけどな。

 そのせいで時間の感覚が狂いがちになる。

 フィールド型でも二十四時間の変化があるものと、ないものもあるが。


 九、十階の階段まえで夜営していただろう探索者も同じ考えなんだろう、ちょうど出発準備をしているパーティーもいた。


 十階層はボス部屋の前も安全地帯だから、そこにも夜営組がいるだろう。

 俺が十階層のボス部屋前についた時にはまだ朝食を食べている最中のパーティーがいた。

 だが、ボス部屋の扉が閉まっていた。


「ボスがポップしてる」


 俺が漏らした言葉に食事を取っていたパーティーの一人が俺に向かって話しかけた。


「俺たちが優先権を持ってる。譲ってやってもいいが……ってお前ソロなの?」


 俺の後ろに誰もついてこないことで、驚いたように口に入れていたおにぎりのご飯粒を飛ばしていた。


「いや、ここのアイアンゴーレム脅威度7だし、剣装備じゃあ無理だろう。いやそれよりここまでよくこれたな」


 俺が今装備しているのはエレホーンソードとマチェットだ。どちらもゴーレム系には不向きと言われている武器だ。

 戦士職のスキル〈ラッシュ〉の習得がなければ俺は途中で引き返してただろうな。


「流石にソロに譲るにはちょっと」

「ああ、じゃあ終わるまでその辺り探索しているからいいよ」


 そういって引き返し、十階層のブロンズゴーレムでも探してみよう。

 

 ダブルファングの固有スキルである〈ブラックファング〉を使えば倒せるとは思うけど、悪目立ちしそうなので諦めた。


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一日ずれて何とか更新、でも更新予定時間二時間まえ……ギリギリです。

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