第110話 職業スキル
ついに100万PV達成しました。ありがとうございます。
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彼らは普通の探索者だったので、問題なく取引が終わった。
「結局赤字かあ」
「四階層と五階層でロック狩りでもして、少し稼いで帰るか」
そんな会話をしながら階段を登っていく。俺は反対の六階層へと進んでいく。あたりに人がいなくなったことでポチが話しかけてきた。
「ポーションを渡してしまって良かったのですかワン」
「うん、まあ」
鉢合わせして罰が悪かったというか、ポーションうんぬんの印象を残すことで、階段で不自然に現れた俺を怪しまないでくれるといいかなという思惑があった。
それに今は在庫は少ないが、自分のダンジョンでポーションを増やすことはできるのだ。
生狛ダンジョンのリソース回収が終わったらいろいろ手を加えて、目当てのものがドロップしやすいようにしてやろうと思っている。
ピンポイントでドロップ品やトレジャーボックスの中身を指定できないところがなあ。
俺ガチャに左右されるゲームは嫌いなんだよ。
六階層を進む。五階層までと比べて探索者の数は減ったものの、めぼしい採掘ポイントは先客で埋まっている。地道にドロップを狙おうにもモンスターのエンカウント自体も少ない。
生狛はではそれなりにエンカウントしたから、人気薄というのがこういうところで実感した。
六階層からは出現モンスターが変わる。とは言っても六階層のモンスターは脅威度3のロックパペットだ。
マチェットで手足の関節部を狙ってバラしていき、動けなくなったところで核があると思われる胸をエレホーンソードで滅多突きした。
「!」
突然身体が勝手に突きの連撃を放つ。目も止まらぬ速さで繰り出された五連撃は、ロックパペットの核に命中し、破片もろとも黒い粒子に変わっていった。
「なんだ、今の。ああ、《
生狛ダンジョンボスのブラックウルフ戦で手に入れた《戦士》のスクロールだが、悩んだすえ使用したのだ。
アンゴーラブル戦で手に入れた《刀術》とどちらを取るか散々悩んだが、現時点で刀型武器を持っていないし、戦士はあらゆる武器に精通する職でもあるので、今回は《戦士》を先に取ることにした。
そして今戦いの中で〈ラッシュ〉のスキルを獲得したと思われる。
職業スキルは経験を積んでいくとスクロールなしでスキルが習得できるのだ。
この辺りゲームみたいに「スキルを獲得した」とか出ればわかりやすいんだけどね。
〈ラッシュ〉は装備武器の連撃技だ。エレホーンソードを使っていたので突き五連撃が発動した。初っ端で五連撃だからスキルレベルとか職業レベルが上がるとどんどん数が増える。やはりレジェンドの威力というか性能はすごいな。
ありがたいことにこのパターンでロックパペットはなんなく倒せるようになった。多分サンドやクレイの他のパペットにも通用すると思われる。
それとロックパペットのドロップに気になる項目が。
=【コモン・ロックパペット】【魔石50%・鉱石10%・欠片10%・石塊10%。・アイテム10%・なし10%】=
石塊とは? そのまま読めば〝いしくれ〟なのだろうと思っていた。
いわゆる砂利っぽいやつだ。
けれど三体目のロックパペットを倒し、後に現れたものは……
「どう見てもブロックだろう……」
穴は空いてないがよくみるブロックだ。このブロックはコンクリートではなく石でできている。石の塊なので漢字でかけば〝石塊〟で間違いではないのか。
きっとダンジョンを作った何かは、日本語が苦手なのかもしれない。
中ボス部屋の転移オーブを使って戻れることから、七階層の階段近くまでは探索者がそこそこいたが、そこからはかなり減る。
あとは十階層を中心に活動するパーティーと十五階層を中心に活動するクランがいるというので、狙い目は八、九階層らしい。
粟嶋先輩は五階層までで一日かけて、翌日は八階層で採掘し五階層から帰還オーブを使って帰っていく一泊二日の探索を土日でやるみたいだ。
七階層から出現モンスターがコモンからレアに上がる。
クレイゴーレムが目の前に現れた。
パペットが身長150センチくらいの細身、デッサン人形みたいな感じなのだが、ゴーレムは二メートルのむっちり力士体型だ。
こいつも燃えるっぽいが、狭い坑道で燃やすのは憚られる。
流石にパペットのようにはいかず、俺が攻めあぐねていると。
「お手伝いしますワン」
ポチが本来の大きさで現れ、前足でバシュッ、バシュッっとクレイゴーレムの身体を削り簡単に倒してしまった。
そして俺の前におすわりをして『ほめてほめて』とばかりに尻尾を振る。
「ありがとな、ポチ」
戦士職のスキルを一つ得たもの、境ダンジョンは今の俺の攻撃方法には向いてないダンジョンだったな。
ろくにリサーチせずにきたのも良くなかった。
今回は拘らず、ポチにお願いするか。
ちなみにクレイゴーレムのドロップなんだが……
=【レア・クレイゴーレム】【魔石40%・鉱石15%・欠片15%・石炭15%。・アイテム10%・なし5%】=
カケラの次に表示されるアイテムは石炭だったよ。
その後ロックパペットとクレイゴーレムを二体ずつ倒し、階段ではなく粟嶋先輩の地図にあった採掘ポイントを目指す。
けれどそこにたどり着く前にポチが俺を引き止めた。
「マスター、ここ、ここを掘ると良いですワン」
ここほれワンワン……いやそうは言ってないけど、壁の一部をてしてし叩いていると、ガリっと壁の一部が剥がれて転げ落ちた。
ポチの爪に引っかかったというか、削り取られた感じか。
その転げ落ちた塊を拾って確認してみた。
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境ダンジョン。鍛治の原料以外に燃料も出るダンジョン……
でも昨今は燃焼系は敬遠されがち?
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