第101話 選択
さて。ドロップでも確認しますか。
「ん。ドロップが三個?」
と思ったがそうではなかった。
=【レジェンド・ウエポン】《ダブルファング》ブラックウルフの牙双剣/固有スキル《ブラックファング》=
二つで一つ扱いの武器だった。しかもレジェンドということは上アイテムを引いたってことか。
鞘から抜くと黒光する片刃の切れ味良さそうな剣だがなんというか、某ハンターゲームに出てきそうななんともこうばしい感じがですね。ショートソードの部類に入るのか、刃渡りが四十センチほどあるのだが若干の湾曲と歪な刃元に凸凹というかエッジ? エッジって言っていいのかあっちこっちとんがってまして刀身自体も少しカーブをえがいています。
ふとこの双剣と佐々木のコートが似合いそうで想像してしまった。
「エレホーンソードよりは使いやすそうだが、若干マチェットと被るよな」
刃渡りはマチェットよりは少し長め。でも片刃で使い方は同じような感じ。双剣ということで現在両手持ちの俺にはちょうど良さげではある。
固有スキル付き武器なので、両手に装備するとこの《ブラックファング》って攻撃スキルが使えるようになる。
「爺ちゃんの刺身包丁、折れたって言ったら泣かれるかも。いや送金したから新しい包丁手に入れてるか」
折れたものも素材として再利用できるんだから、これ粟嶋先輩に渡そう。まだ竹割鉈も渡してなかった。
そしてもう一つのドロップはスクロールだった。
=【レジェンド・スクロール】《
こっちもレジェンド。戦士はレジェンドの中でも星が低く一つだ。
これは比較的出回っていることと、人気がイマイチが理由の星判定。
戦士という職業は全ての武器を扱えるようになるものの、器用貧乏になりやすいことが原因である。
あれもこれもと使えば当然一つの武器種のスキルの覚えも上がりも悪くなる。
要は使い方なんだけどな。まあ俺だってマスターの知識がなけりゃあそう思っていた。
スキル習得は後回しにして現れた扉を見る。
「さて、どちらでしょうかにゃ」
タマが扉に向かって歩いていき、その後ろに俺も続く。
そして扉を開ければそこは円形のホール。天井が発光するその様子はすでに見慣れたものだった。
そして中心には光を吸収する様な漆黒色の
「コアルームだ」
「コアルームですにゃ」
ゆっくりとダンジョンコアに近づき、手を伸ばすが触れる前に忘れずにすることがある。
「ダンジョンコア、ダンジョン内アナウンスを停止しろ」
『アナウンスを停止します』
そう、このアナウンス任意に変更できるのだ。誰も知らないがダンジョンマスターである俺は知っている。こうすればここコアルームにいるものにしか聞こえなくなる。こうすれば生狛ダンジョンにいる探索者にアナウンスは聞こえない。
そしてコアに手を触れる。
『モフィ=ルーマス・ダンジョンが単独制覇されました。制覇者は次の選択肢から選んでください』
さあ、選択肢を選ぶ時がきた。
『一つ、存続を選択。ダンジョンは現階層数を維持し、以降成長することはありません。一つ、消失を選択。開封中のダンジョンゲートが消失します。一つ、運営を選択。ダンジョンマスターとなり、このダンジョンの主としてダンジョンを運営します』
ここまでは前回の裏山ダンジョンで聞いたのと同じ。そして四つ目の選択肢が告げられる。
『一つ、吸収を選択。モフィ=ルーマス・ダンジョンをモフィ=リータイ・ダンジョンのリソースとして吸収します』
その時ふと疑問に思ったことを呟いてしまった。
「このダンジョン吸収したら、もうカウ肉とか手に入れられなくなるんじゃあ……」
『選択を確認しました。私はモフィ=ルーマスのダンジョンコア。これより吸収のためのシークエンスに入ります』
あ、また選んだことになった!!
四月某日、あまり人気のなかった全十五階層(推定)のダンジョンが制覇され、消失した。
ダンジョンより排出された探索者は、誰も十五階層に到達しておらず、ダンジョンを制覇した探索者パーティーが見つからなかったことが一時期論争を呼んだ。
だが後日JDDSより、協会所属の探索者による制覇であったと発表された。
それが事実かどうかなど、〝ダンジョンボスのドロップはなんだったんだろう〟〝どれくらいの価値があっていくらくらいで売れるのか〟などと言う話題ほど一般探索者や市民にとって興味を引くものではなかった。
────四章 終わり────
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はい、Ⅳ章終了です。カクコンのため頑張りました。皆様のおかげで現代ファンタジーの週間ランキング10位以内に何度か上がっておりました。
カクヨムは異世界ファンタジーとラブコメが強いですね。昨日のコンテスト総合ランキング45位に食い込んでました。みなさんありがとうございます。
レヴューも三つ目@daigorou0323様に歌だきました♡
明日は人物紹介をアップする予定です。
Ⅴ章の開始はしばらくお待ちください。
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