第85話 二日目の探索①
夕食はマイボス部屋に戻ってとることにした。
本当は肉のドロップを期待していたんだが、今回はなかったので《倉庫》に保存してあるカウの肉の残りを使って野菜と炒める。
新品の包丁はよく切れる。
食後少しゆっくりしてから、明日の準備だ。
腹袋を外してドロップ品の整理をする。
皮は売らずに置いておくが、魔石と牙爪類は買取に回すため、ジッパーバックにそれぞれ詰めてからバックパックに入れておく。
ローヒールポーションは使ったので、ミドルヒールポーション三本と解毒ポーション一本、解麻痺ポーション一本がポーションポーチに入っている。
牙のピアスは売りだ。効果極小って5%上昇くらいの効果しかないし、何よりこのピアスをつける度胸は俺にはない。
スクロールは《スマッシュ》だったな。これもオークションかな。俺の戦闘スタイルといまひとつ合わないから。
そして十一階層へ移動して十階層の様子を伺うが、ボスはリポップしておらず他の探索者もいない。悩んだ末今回も十階層で野営をすることにした。
明日の朝中ボスがリポップしてたら挑戦するつもりだ。。一応他の探索者に取られないように、ここで寝ておく。
前回同様レジャーシートの上に毛を敷いてからケットに包まって、おやすみなさい。
タマ湯たんぽあったかいです。
朝は七時前に目が覚めた。今回は寝過ごさなかったし、誰もやってこなかった。朝食はコンビニおにぎりで済ませる。
ボス部屋の扉が閉まっていてリポップ済みのようだ。
荷物をかた付けて中ボス戦の準備をする。
武器は右手にエレホーンソード、左手に刺身包丁とした。メイン武器とするにはマチェット使い込みが足らず、エピックモンスターのアンゴーラブル相手には心許ない。
サブ武器として左手で持つにもまだ慣れてない。ここまでずっと右手に持ってきたからな。
刺身包丁やマチェットはドロップ品じゃないので、《アイテム鑑定》で鑑定できなかったんだが、刺身包丁と鉈が鑑定できるようになっていた。
=【コモン・武器】《刺身包丁》切れ味上昇(小)=
=【コモン・武器】《折れた竹割鉈》破損=
タマが言っていた魔素を吸収して武器もレベルアップって件だが、鑑定するとダンジョン武器と同じような説明がでた。
マチェットはまだ何も出ないので、魔素の吸収が少ないのだろう。しかし刺身包丁に切れ味上昇がついてたとは。竹割鉈にも何かついてたかもな。
防具は一応ブルマントを装着する。
あとは毒耐性の指輪と麻痺耐性の指輪。レアリティの低い指輪は、指に嵌めないと効果が出ない。レアリティが高いものは鎖に通して首からかけたりするだけでも効果が出るものや、装着感がなかったり
おもちゃの指輪と同じでCの字になって、サイズ調整というか力で広げたり締めたりする。やりすぎると折れるから注意が必要だ。
低レアリティの指輪は剣を握るのにちょっと違和感が出るのであまり好きではないのだが、アンゴーラブルは毒や麻痺攻撃をしてこないので、今回は不要だ。
「タマは見学な。やばそうだったら声かけるから」
「了解ですにゃ」
石の扉を開け中に入ると、やはり中央にアンゴーラブルが鎮座していた。
「ブモオオォォォ……」
結果、なんとかタマの手を借りずに倒すことができた。
二度目ということで攻撃パターンが分かっていたものの、避けてからのエレホーンソードの突き攻撃がいまいち決まらなかった。
途中でマチェットと持ち替えるが、前回のような力比べはしない。
そして二十分ほどかかってようやく倒すことができた。
「はあぁ、前回は三十分以上かかってるから、一応レベルは上がってるんだよな」
その場に座り込みながら寄ってきたタマ(巨大ヴァージョン)に寄りかかる。
「武器が戦闘スタイルにあってないようですにゃ」
「そうだよな。せっかくのエピックウエポンも使いこなせなきゃ宝の持ち腐れだよ」
五分ほど座り込んだが、立ち上がりドロップを回収する。
=【エピック・アイテム】《アンゴーラブルの皮》加工方法により特殊効果発現=
=【エピック・スクロール】《刀術》刀の扱いが上手くなる=
「まじか……」
《刀術》は《刀鍛冶師》と同様日本でしかドロップしないのだが、《剣術》などに比べてドロップ数は少ないものの、そこそこあるのだ。ちなみに星五つで、オークションでは七桁超えがザラである。
「くうぅぅ、使いたい、使いたいけど武器がなあぁぁ!」
片刃の刺身包丁やマチェットでもなんとか刀術の武技が使えるだろうが、エレホーンソードじゃ無理だ。
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