第71話 帰り道①

 ★1000越えました。応援ありがとうございます。

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 今度炊飯器も買おうかな。レンジで炊くご飯はちょっと硬いんだよな。パックのは高いし。

 明日用にコンビニで千切りキャベツも買って行こう。

 帰りにコンビニに寄って、千切りキャベツ以外に明日の朝食と予備のおにぎりも購入し、荷物の受け取りをする。


 宅配の受け取りをコンビニにしていたのだ。この前注文した包丁セットが届いているはず。


「明日はこの包丁でカウ肉を調理するから、楽しみにな」

『楽しみですにゃ』


 流石にこの包丁セットは戦闘には使えない。刃渡り短すぎるし。


 コンビニを出てアパートに向かう間、タマは俺の横をトコトコと歩いている。

 夜だし飼い猫を連れている様に見えるだろうと、こういう機会に外を彷徨くことを許した。

 ダンジョンの外はたまには珍しく、あっちこっちをキョロキョロ見ている。


 俺は同じ方向に向かって前をとぼとぼ歩く女性に目を止めた。


「あれって、朝のバスで見かける……」


 俯き加減で歩いていると、ほら前から。


「ってーなあ、どこ見て歩いてんだよ」

「す、すいません」


 ほら、ぶつかった。ていうかあの二人連れのおっさん避けられたのにわざとっぽいな。


「あやまって済むならケーサツはいらねえんだよ」

「あー、肩が外れたかも、いてーなあ」


 今時そんなセリフ吐くチンピラとか、いるんだな。


「す、すいませんすいません」

「申し訳ないと思うんなら、ちょっと一杯付き合えよ」


 嫌がる女の子の手を掴むおっさん。それもう犯罪だし、怪我したんなら病院行くか救急車呼べよ。


「未成年に飲酒を進めると捕まるよ」


 そう言いながら男と女の子の間にウエポンケースを差し込んで邪魔をする。


「何だ、てめえ」

「通りすがりの探索者です、あ消防ですか、肩が外れたっていうけが人がいるので救急車をお願いします」


 右手のウエポンケースはそのままで、左手のスマホを耳に当ててながらも、視線は男にむけたままだ。


「お、おい。不味いぞ」

「くそ、覚えてろ!」


 何だか捨て台詞まで昭和くさい。テンプレ通り越してレトロな感じだ。

 二人はそそくさと駅の方に向かって去っていく。


「あ、ありがとうございます」


 そう言って深く下げた頭を上げた女の子の目元は泣きはらした後の様で腫れていた。


 「救急車、断らないと」


 心配げにいう彼女に待ち受け画面のままのスマホを見せる。実はかけてないという古典的な手法である。

 少し驚いた顔をするもすぐに改まり。


「あの、探索科の人ですよね?」


 小首を傾げ問う仕草は自然なもので、ひながおねだりの時の仕草とはダンチだ。


「あんたは確かサポート科の」

「はい、サポート科医学部の新井志乃です。助けてくださってありがとうございました」


 まだ赤みの残る目を俺に向けてくる。


「俺は探索科の「知ってます。鹿納くんですよね。前年度最終試験でダンジョン学トップだった」あー、そう。俺面識あったっけ?」


 こんな可愛い子の知り合いはいないのだが。


「一方的です。あの試験私がトップだと思ってたのに、結果は二位だったのでトップがどんな人かなって、あ、ごめんなさい」


 最終試験必死に勉強したからな。偏差値段違いの医学部志望の子にダンジョン学だけとはいえ勝ったわけだ。


「こんな時間だし家の近くまで送るけど」


 迷高専の女子寮はこっちじゃないから、俺と同じくどこかの賃貸しに入っているんだろう。


「この先のメルヴェーユ春花第二ってアパートなんです」

「え、俺と一緒?」


 メルヴェーユってフランス語で素晴らしいって意味らしいが、初めて建物を見た時「どこがっ」って一人ツッコミを入れたな。


「え、そうなんですか?」

「うん、俺106号室」

「え、私203号室です」


 学生に斡旋するアパートだから他にもいるのは知ってた。俺がちょうど入れたのも卒業生が出たので空きがあったからだ。


「ご近所さんでしたか」


 アパートの住人と一切接触がなかったというか、どんな人が住んでるかとか興味なかった。


 いつまでもここに止まっているのも変だし、ゆっくりと歩き出した。

 タマは俺が割って入る前に影に沈んでいるのだが。


『人間の美醜はわかりかねますが、この雌は可愛いのですかにゃ? 可愛いから助けたんですかにゃ?』


 とか念話で言ってきてうるさい。それと雌って表現やめれ。



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